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2014 Fiscal Year Research-status Report

炎症発癌に対する間葉系幹細胞のchemoprevention機構の解明

Research Project

Project/Area Number 25460954
Research InstitutionSapporo Medical University

Principal Investigator

本谷 雅代  札幌医科大学, 医学部, 助教 (60468080)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 有村 佳昭  札幌医科大学, 医学部, 講師 (80305218)
苗代 康可  札幌医科大学, 医療人育成センター, 講師 (80347161)
Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords骨髄間葉系幹細胞 / chemoprevention / azoxymethane (AOM) 関連発癌
Outline of Annual Research Achievements

Azoxymethane (AOM) 関連発癌に対するMSCのchemoprevention作用は,これまでに報告のない新しい2つの機序,すなわち,①O6メチルグアニン(O6MeG)付加体そのものを減らすこと,②acute apoptotic response of genotoxic carcinogen (AARGC)を免れた細胞をG1期停止やアポトーシスに導くこと,の2つの機序により腫瘍イニシエーションを解除すると推定された.第一のAOM/DSS炎症発がんモデルでは,AOMと同時投与したMSCは腫瘍数を減らしたが,腫瘍サイズに影響を与えなかった。第二のACF形成モデルでは,AOMの投与前後に投与されたMSCは,いずれもACF形成を抑制した.以上より,MSCは発がんのイニシエーションを早期に抑制し,そのメカニズムは少なくとも複数存在することが示唆された.AOMに暴露された齧歯類では,およそ8時間後に大腸上皮細胞がAARGCに陥るとされる.これは大腸上皮細胞の遺伝子変異負荷を解消するために,生体に本来備わっている一種の発がん予防機構である。興味深いことに,MSCは,第三のモデルにおいてAARGCを抑制した。この作用は,造血幹細胞,線維芽細胞株,MSCの培養上清には認められなかった.MSCがメチルグアニンメチル基転移酵素(MGMT)を活性化させることによって,O6MeGそのものを減じ,見かけ上AARGCが抑制されていた.ラット腸上皮細胞株IEC-6とMSCの共培養した場合,O6メチルグアニンの程度に応じて,MSCはIEC-6の増殖を抑制し,G1 arrestやアポトーシスを誘導した。この細胞増殖抑制作用は,直接の細胞接触ではなく,TGF-betaを介したパラクライン作用であった.MSCの発がん予防作用は,発がんのイニシエーションにとどまらず,プロモーションやプログレッションの段階に及んで広範に作用する可能性も示された.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では,腸炎関連癌に対するMSCのchemoprevention作用の詳細を明らかとすることを目標としている.そのために,1.AOM関連発癌におけるMSCの役割,2.AOM関連発癌に対するMSCのchemoprevention作用機序,1)AARGCを免れた細胞をG1期停止やアポトーシスに導く機序,2)O6MeG DNA付加体そのものを減らす機序,3.Helicobacter hepaticus感染モデルに対するMSCの作用の3つのテーマを重点的に研究する計画であった.そこで,2.1)に関して,メチルアゾキシメタン(MAM),MGMT阻害剤であるO6BGおよびAOMを適宜組み合わせることで,大腸上皮細胞に被る変異原性(O6MeGの多寡)をコントロールして,MSCの作用を観察したところ,変異原性とMSCの増殖抑制作用の間に正の相関を見出した.2.2)に関しては,MSCが大腸組織の粘膜分画におけるMGMTの遺伝子発現を誘導することそれぞれ見出した.しかし,1.に関しては,GFPのみならずY-FISHを併用して検討したが,大腸にホーミングするMSCの絶対数が少なくこれ以上の検討は困難であった.そこで,今年度は主に.AOM/DSS炎症発がんモデルにおいてMSC投与群に形成された腫瘍とMSC非投与(コントロール)群を多数例で検討した.MSC投与群では,リン酸化beta-カテニンが有意に多く,beta-カテニン遺伝子の変異のスペクトラムが狭く,偏りが認められた.さらに,Tgf-beta/Smadシグナルの活性が抑制されていた.これらの結果は,MSCが大腸発がんに重要とされる古典的WNTおよびTgf-beta/Smadシグナルに作用して,発がんを抑制する第三のメカニズムの存在を示唆した.3.の感染モデルの検討は次年度の課題とした.

Strategy for Future Research Activity

1)MSCはDNA損傷(O6メチルグアニン)そのものを減らした.また,2)DNA損傷をもった細胞の細胞周期を止め,細胞死(アポトー シス)を誘導した.これらは,発がんのごく早期の段階(イニシエーション)において,別々ではなくタンデムに配列して作用する新しい発がん抑制メカニズムである.1)はMGMT活性化を介するが,MGMT活性化機序は不明である.MSCがMGMTのエピジェネティック調節を負に制御するか否かが重要と思われ,今後の検討課題としたい.2)に関して,MSCの作用はTGF-betaを介するが,その作用が共培養のペア細胞におけるDNA損傷に比例して増強する機序は全く不明であり,研究期間内でその謎に迫るべく努力したい.またHelicobacter hepaticus感染モデルに対するMSCの作用に関しても検討を加える予定である.

Causes of Carryover

次年度への繰越は,物価の変動や研究計画の修正に伴う経費の変動の範囲に収まるわずかな額である.

Expenditure Plan for Carryover Budget

繰越額はわずかであり,次年度における試薬などの消耗品の購入に充てる予定である.

  • Research Products

    (4 results)

All 2015 2014

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Stem cell therapy for inflammatory bowel disease2015

    • Author(s)
      Nagaishi K, Arimura Y, Fujimiya M
    • Journal Title

      J Gastroenterol

      Volume: 50 Pages: 280-6

    • DOI

      10.1007/s00535-015-1040-9

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 間葉系幹細胞による消化管再生医療2014

    • Author(s)
      有村佳昭, 小野寺 馨,一色裕之,川上賢太郎
    • Journal Title

      G.I. Research

      Volume: 22 Pages: 435-42

  • [Journal Article] Mesenchymal stem cell therapy ameliorates diabetic hepatocyte damage in mice by inhibiting infiltration of bone marrow-derived cells2014

    • Author(s)
      Nagaishi K, Ataka K, Echizen E, Arimura Y, Fujimiya M
    • Journal Title

      Hepatology

      Volume: 59 Pages: 1816-29

    • DOI

      10.1002/hep.26975

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 日本人のIBD感受性遺伝子2015

    • Author(s)
      有村佳昭
    • Organizer
      第154回日本消化器内視鏡学会東北支部例会(ランチョンセミナー)
    • Place of Presentation
      仙台国際センター(宮城県・仙台市)
    • Year and Date
      2015-02-06 – 2015-02-06
    • Invited

URL: 

Published: 2016-05-27  

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