2013 Fiscal Year Research-status Report
次世代シーケンサーを用いた潰瘍性大腸炎病原ウイルスの同定
Project/Area Number |
25460961
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松岡 克善 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40307393)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 次世代シーケンサー / 未知ウイルス |
Research Abstract |
潰瘍性大腸炎 (ulcerative colitis; UC)は、大腸の慢性炎症に伴い下痢・血便・腹痛などの症状を引き起こす、原因不明の疾患である。患者数は年々増加し、現在日本では若年者を中心に約13万人の患者がいる。次世代シーケンサーは、従来のサンガー法によるシーケンサーとは異なり、既知の配列情報を必要とせず、大量の塩基配列を一度に決定可能なため、未知の病原ウイルスの同定に用いられるようになってきている。本研究では、UCの病因として未知の腸炎ウイルスを想定し、次世代シーケンサーを用いて、UC病原ウイルスを同定することを目的としている。 今年度は、同意を得たUC患者7名より大腸内視鏡検査施行時に大腸粘膜組織を採取し、RNAを抽出、cDNAに変換後、次世代シーケンサー(Illumina社・MiSeq)で網羅的解析を行った。ここで得られた核酸配列情報からBLASTおよびMega BLASTを用いて、ヒトや細菌などの既知の配列を除去し、BLASTNおよびBLASTXによる相同性解析から、候補ウイルス配列を抽出した。その結果、1サンプルあたり300以上のウイルス由来の可能性のある配列が得られた。得られた主なものとしては、Human endogenous retrovirus, Stealth virus, Monkeypox virusなどに類似した配列が得られている。現在、これらの配列の中で、それぞれのサンプルで共通に検出できた配列を絞り込んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸粘膜生検組織からRNAを抽出し、次世代シーケンサーで解析するプロトコールを確立した。また、次世代シーケンサーによって得られた核酸配列情報から、ヒトや細菌に由来する既知の核酸配列を取り除き、残りの配列情報をBLASTXとBLASTNを用いて、相同性解析からウイルス由来の可能性がある配列を抽出するソフトの開発も行い、解析のための基本的なシステムは確立された。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に確立したシステムを用いて、来年度はサンプル数を増やすことを重点的に行う。また、潰瘍性大腸炎は同一の患者の中で炎症部位と非炎症部位が明瞭に区別できる特徴を利用し、同一被験者から炎症部位・非炎症部位のセットで生検組織採取を行う。これらのサンプルを解析し比較することで、炎症部位には存在し、非炎症部に存在しない核酸配列を抽出することで、病原ウイルスを検出できる可能性を高める。
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