2015 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性脂肪肝炎におけるMIFの役割とその制御による治療応用
Project/Area Number |
25460968
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大川原 辰也 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 研究員 (00374257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 宏司 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60261294)
大西 俊介 北海道大学, 大学病院, 講師 (10443475)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マクロファージ遊走阻止因子 / 非アルコール性脂肪性肝炎 / 薬剤性肝障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の病態解明についてマクロファージ遊走阻止因子(MIF)を標的にして解析を行なった。NASH疾患モデルとしてコリン・メチオニン欠損(MCD)食投与によるNASH発症モデルを用いた。MCD食の摂取によってマウスは体重減少というヒト疾患とは違った所見も見られたが、肝臓内に多数の脂肪滴を貯留し、肝細胞のMIFの発現が増強されていた。さらにMIF活性阻害剤の化合物であるISO-1をマウスに複数回腹腔内投与し体重の変化、MCD食投与後の肝臓組織、血液を解析した。MCD投与群、MCD投与及びISO-1投与群の両群において、肝臓内の脂肪滴沈着の割合は有意な差を認めなかった。MCD食投与による血液肝トランスアミナーゼ値の上昇もISO-1投与によっても有意な変化を認めなかった。 一方、アセトアミノフェン投与による肝障害におけるISO-1の効果を検証した。肝組織の破壊や炎症細胞の浸潤の増加はISO-1投与によって著明に抑えられていた。さらに血液肝トランスアミナーゼ値の異常高値もISO-1投与によって著明に低下、改善が見られた。肝組織におけるアポトーシスを観察するためにTUNEL法を用いた。TUNEL染色陽性細胞数がISO-1投与により著明に減少していた。同様に肝組織内の好中球ぺルオキシダーゼ染色により好中球浸潤の程度を観察したが、APAP投与によるMPO陽性細胞の著明な増加をISO-1投与により抑えていることが確認された。血液中のサイトカインをELISA法にて測定したが、炎症性サイトカインである、TNF,ケモカインであるMIP-2、急性期に見られるIL-6、そしてMIFともAPAP投与による上昇をISO-1投与により有意に抑えていることが確認された。ISO-1によるMIF活性阻害によってもNASHが軽快しなかったことについてNASHは単純に炎症が起きているだけではなく免疫・脂質代謝において複雑なメカニズムが示唆された。
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