2014 Fiscal Year Research-status Report
肝癌増殖におけるエキソソームを介した機能性RNA輸送機構の解明と治療応用
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25460971
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小暮 高之 東北大学, 大学病院, 助教 (70400330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 泰輝 東北大学, 大学病院, 助教 (70455822)
嘉数 英二 東北メディカル・メガバンク機構, 学内共同利用施設等, 非常勤講師 (20509377)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / 機能性RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、肝細胞癌の増殖におけるエキソソームを介した機能性RNA輸送機構を明らかにし、診断マーカーおよび治療標的の発見を目的とするものである。 肝癌における細胞間コミュニケーションにおいて、分泌タンパクを介した細胞増殖制御の他に、エキソソームを介したマイクロRNA輸送による増殖制御機構が存在するが、マイクロRNA以外の機能性RNA輸送に関しての報告はほとんどなされていない。比較ゲノム学の手法により発見されたゲノム上のultraconserved elements、その転写産物であるultraconserved RNAは、生物学的に重要な役割を持つことが強く示唆され、大腸癌・白血病および肝細胞癌においてその発現プロファイルが異なることが明らかになったが、エキソソームを介したultraconserved RNA輸送はまったく明らかにされていない。 われわれは、5種類のヒト肝癌細胞株の培養上清からエキソソームを回収した。カスタムデザインのPCRアレープレートを用いて、エキソソームにおけるultraconserved RNA発現の網羅的解析を行い、エキソソームに特異的に高発現する複数のultraconserved RNAを同定した。 肝癌細胞において、これらのultraconserved RNAをノックダウンし、肝癌細胞の増殖に与える影響を検討したところ、数種のultraconserved RNAが肝癌細胞の細胞増殖制御に関与している事が明らかとなった。 このうち1種のultraconserved RNAの全長を解析し、その配列を明らかにした。1種のultraconserved RNAの発現プラスミドベクターを現在作成し、肝癌細胞株における強制発現系を構築中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
網羅的解析を行い同定したultraconserved RNAの細胞増殖に対する役割を大まかに推定するためにノックダウン実験を実施したが、いくつかのultraconserved RNAにおいては細胞内における発現を十分低下させることが困難であり、予定よりも多くの手法での検証が必要となった。同定したultraconserved RNAの全長を明らかにする過程で、肝癌細胞内でのendogenousな発現量が低い転写産物に対して、クローニングを行うことが困難であったため、予定よりも長い時間を費やすこととなり、計画がやや遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
RACE法を用いてクローニングを行ったが、おそらく細胞内でのendogenousな発現量の問題で全長を明らかにできなかったultraconserved RNAがあったため、細胞内での発現が比較的高いultraconserved RNAの候補を用いて当初の計画に沿って実験を遂行する。
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Causes of Carryover |
同定したultraconserved RNAの全長を明らかにする過程で、肝癌細胞内でのendogenousな発現量が低い転写産物に対して、クローニングを行うことが困難であったため、予定よりも長い時間を費やすこととなり、計画が遅延した。このため、当初、同定したultraconserved RNAの全長の配列を明らかにし、完全長のultraconserved RNA(転写産物)を合成してナノ粒子に封入し、エキソソームを模倣した系で機能解析を行う予定であったが、計画の遅延のため施行しておらず、この実験系に必要な物品を購入していないため、計画と使用額に差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
RACE法を用いてクローニングを行ったが、おそらく細胞内でのendogenousな発現量の問題で全長を明らかにできなかったultraconserved RNAがあったため、細胞内での発現が比較的高いultraconserved RNAの候補を用いて当初の計画に沿って実験を遂行する。H26年度に購入しなかったエキソソームを模倣した系で機能解析の実験に必要な物品をH27年度に購入し、計画通りの研究実施に努める。
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