2014 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍融解ワクシニアウイルスの肝癌幹細胞に対する殺細胞効果の評価
Project/Area Number |
25460975
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安部井 誠人 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (20261802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 恭介 筑波大学, 学長 (40180492)
中村 幸夫 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, その他 (60231479) [Withdrawn]
兵頭 一之介 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60416469)
山下 太郎 金沢大学, 大学病院, 助教 (90377432)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腫瘍融解ウイルス / 癌幹細胞 / 肝細胞癌 / ワクシニアウイルス / ソラフェニブ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,腫瘍細胞選択的に増殖し,腫瘍を融解壊死させる種々の「腫瘍融解ウイルス」が癌の遺伝子治療用ベクターとして注目されている。特に,顆粒球・マクロファージ・コロニー刺激因子(GM-CSF)遺伝子武装腫瘍融解ワクシニアウイルス(JX-594)は,海外での肝細胞癌に対する第I相,第II相臨床試験において高い安全性と画期的効果を示し有望視されている。一方,最近,いくつかの腫瘍融解ウイルスが癌幹細胞を殺傷することが報告されたが,JX-594では全く不明である。本研究では,癌幹細胞に対する薬効を評価できる肝細胞癌の細胞株を同定し,それを用いて癌幹細胞に対するJX-594の殺細胞効果を評価することを目的とした。平成25年度は,各種のヒト肝細胞癌細胞株 (HuH-7, Li-7, PLC/PRF/5,HLF,HLE)のうち,Li-7細胞株が唯一,癌幹細胞の階層性とその分化による形質変化(population change)を示すことを見い出した。さらに同細胞株のCD13+CD166-細胞は,CD13-CD166+細胞への分化に伴い造腫瘍能を失い,またLi-7細胞の全細胞集団の再構成が可能,かつ高いALDH活性,spheroid形成能,stemness関連遺伝子の発現から,癌幹細胞と同定された。平成26年度は,肝細胞癌に対して現在使用されている唯一の分子標的薬であるソラフェニブがLi-7細胞のCD13+CD166-癌幹細胞を標的とし,一方,抗癌剤5-FUはCD13-CD166+ 細胞を殺傷し,両者の併用はより強力な抗腫瘍効果を示すことを見い出し,Li-7細胞が肝細胞癌の癌幹細胞を標的とする薬剤のスクリーニングに適していることが確認された。最終年度の平成27年度は,このLi-7細胞を用いて,肝細胞癌幹細胞(CD13+CD166-細胞)に対する腫瘍融解ワクシニアウイルスJX-594の殺傷効果を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である平成25年度は,肝細胞癌の癌幹細胞を同定することを目的とした。その結果,Li-7細胞のCD13+CD166-細胞を同定し得た。平成26年度は,Li-7細胞が,肝細胞癌の癌幹細胞と非幹細胞のそれぞれに対する薬効の評価に適するか否かを検討し,その結果,評価可能であることが判明した。したがって,順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の平成27年度は,予定通り,Li-7細胞を用いて肝細胞癌幹細胞(CD13+CD166-細胞)に対する腫瘍融解ワクシニアウイルスJX-594の殺傷効果を検討する予定である。
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