2015 Fiscal Year Annual Research Report
正常肝臓及び肝癌におけるヒストンメチル化酵素ESETの幹細胞制御機構の解明
Project/Area Number |
25460977
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
千葉 哲博 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00381583)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
エピジェネティクスとは、DNAの塩基配列の変化を伴わずにDNAやヒストンへの後天的な化学修飾によって遺伝子が制御される現象である。癌細胞においては、DNAメチル化やヒストン修飾の異常が高頻度に観察されることから、癌におけるエピジェネティクスの重要性は疑う余地が無い。 ESETはSUV39H1と同様に、ヒストンH3K9をトリメチル化するヒストンメチル化酵素としての機能を有する。H3K9me3は転写抑制性ヒストン修飾であり、標的遺伝子の転写を負に制御するが、肝癌細胞あるいは肝幹細胞における機能については殆ど解明されていない。肝癌培養細胞におけるSUV39H1のノックダウンでは、細胞増殖抑制、アポトーシス誘導が認められたが、ESETのノックダウンでは上述の変化は認められなかった。肝癌細胞あるいは肝癌幹細胞に対する効果は明らかではなかった。ESETはSUV39H1と異なり、より限定的な標的遺伝子座において機能する可能性が考えられた。 一方で、Alb-creとの交配により得られた肝細胞特異的ESETノックアウトマウスでは、生後6ヶ月、12ヶ月の組織学的に異常は認められなかった。一方で、ERT-creマウスとの交配で得られた肝細胞特異的ESETノックアウトマウスでは、胎児肝臓由来の幹/前駆細胞のコロニーアッセイにおいて顕著な幹/前駆細胞の数的減少とアルブミン陽性肝細胞への分化障害がみとめられた。こうした結果は、胎生期の肝発生においてESETが肝幹/前駆細胞の運命決定に重要な役割を果たしていることを示唆しており、現在更なる解析を進めている。
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