2014 Fiscal Year Research-status Report
肝特異的microRNAの発現低下に伴う細胞内代謝物量変化とその肝癌治療への応用
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25460979
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 祐嗣 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00572231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 晴彦 東京大学, 医学部附属病院, その他 (60240305)
大塚 基之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90518945)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | microRNA / 肝癌 / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
進行肝癌の制御を目的として、メタボロームの視点からmicroRNA122 (miR122) の発現変化と癌幹細胞形質の獲得機構について解析した。正常な肝細胞に高発現するmiR122の発現は肝細胞癌では低下していることが多く、逆にmiR122の発現が低下している肝細胞癌は生物学的悪性度が高いことをこれまでに報告した。その後の解析により、miR122の発現が低下した肝癌細胞では癌幹細胞としての形質を獲得して 生物学的な悪性度を増すことを確認している。本研究では、miR122の発現低下に伴う肝癌細胞の癌幹細胞としての形質獲得機構を細胞内代謝系の変化、特にアルギニン代謝の観点から検討し、その結果に基づいた臨床的に用いうる癌幹細胞の制御法を開発し、進行肝癌の治療に役立てることを目的とした。すなわち、肝細胞特異的miR122のanti-senseを発現するコンストラクトをマウスゲノムに組み込んだmiR122の機能的ノックダウントランスジェニックマウスの肝組織と血清、およびin vitro において樹立したmiR122のノックダウンおよびmiR122過剰発現細胞株の細胞と上清を用いて、代謝産物量の網羅的解析を行なったところ アルギニンの細胞内含有量が低下していた。L-arginine はもともと、NO synthetase (NOS) の作用によってNO と L-citrulline に変換される基質である。したがって、L-arginine の細胞内濃度上昇は、細胞内NO濃度の上昇につながることが想定されたが、このことをanti-miR122を発現する細胞株の細胞内および上清中のNO濃度を測定し確認した。細胞内NO濃度の上昇は癌細胞のCancer stem cell-like な形質獲得に関与する可能性が他の癌腫で既に報告されており、実際に幹細胞マーカーの発現が増えていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
microRNA122のノックダウン細胞を用いたin vitroの検討が予定通り進行し、アルギニンのuptakeの亢進から細胞内NO濃度の上昇までを確認し、その結果 抗がん剤耐性を獲得する可能性を見いだした。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに分子機構の解析を進め、その知見に基づいて、miR122の発現を増すような薬剤の探索をおこなって、進行肝癌の新規治療の確立を目指したい。
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[Journal Article] Decreased miR122 in hepatocellular carcinoma leads to chemoresistance with increased arginine.2015
Author(s)
Kishikawa T, Otsuka M, Tan PS, Ohno M, Sun X, Yoshikawa T, Shibata C, Takata A, Kojima K, Takehana K, Ohishi M, Ota S, Noyama T, Kondo Y, Sato M, Soga T, Hoshida Y, Koike K.
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Journal Title
Oncotarget.
Volume: 6
Pages: 8339-52
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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