2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25460986
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田中 榮司 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (50163506)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Mac-2 binding protein / 肝線維化 / 肝細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
B型肝炎の診療において、HBe抗原陰性慢性肝炎は間欠的に激しい肝炎を起こす傾向があり、肝硬変や肝癌へ進行しやすいことが報告されている。しかし、現状では、HBe抗原のセロコンバージョン後にHBe抗原陰性慢性肝炎となる症例を特定することは困難であり、臨床的な問題点となっている。これまでの研究で、HBe抗原のセロコンバージョン後にHBe抗原陰性慢性肝炎を発症した症例の特徴を、ウイルス抗原産生能、全遺伝子の変異、RNAウイルス粒子産生の観点から解析を行った。本年度は肝線維化と発癌に注目し、肝の線維化マーカーとして新規に報告されたWFA+-M2BP(Wisteria floribunda agglutinin-positive Mac-2 binding protein)の意義を、B型肝炎例を対象に解析した。肝生検を施行した無治療のB型慢性肝炎・肝硬変患者112例を対象にWFA+-M2BPを測定した結果、肝線維化と有意な相関がみられた(r=0.3725, p=0.001)。特に、肝線維化がF2以上の症例の予測に優れており(AUC = 0.713)、既知の非観血的線維化予測マーカーと同等の予測能であった。さらに、肝発癌予測因子の多変量解析では、男性、WFA+-M2BP 0.71以上, ALT 80 IU/L以上、血小板数14.5万/μL未満が有意の因子であり、WFA+-M2BPが発癌予測因子としても有用であることが示された。 今回の研究では、WFA+-M2BPが肝線維化および肝発癌を予測する新しい因子であることが明らかになった。今後、HBe抗原陰性慢性肝炎例に対象を絞った解析が必要と考えられた。
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Research Products
(1 results)