2013 Fiscal Year Research-status Report
肥満に伴う慢性肝疾患NAFLDにおける免疫の関与とその制御に関する解析
Project/Area Number |
25460992
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮城 琢也 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80532986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 智秀 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20397699)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝疾患 |
Research Abstract |
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)はメタボリック症候群の肝臓での表現形とされ、近年の肥満人口の増加に伴い注目されている肝疾患である。しかし、長期の経過で進行するため脂肪肝炎の進展から肝硬変、肝発癌といった病態の進展機序は解明されていない。申請者はこれまでにNKT細胞欠損マウスに高脂肪食を与えると、脂肪肝炎が増強することを示し、NAFLDの進展過程において免疫細胞が関与していることを報告している。平成25年度は、野生型マウスに高脂肪食を投与する食餌性肥満マウスを用いて脂肪付加が与える影響について観察した。野生型マウスにおいても長期投与で線維化が進行し、1年で20%、1.6年以上の投与では約70%で自然発癌が起きることが明らかとなった。免疫細胞については脂肪付加により肝臓内の免疫細胞数が増加するが、その細胞の構成は通常飼料を投与した場合と異なり、時間経過に伴いNKT細胞の割合は減少し反対に未熟骨髄細胞は増加することがわかった。なお、NK細胞については有意な変化をみとめなかった。また、肝硬変、発癌をみとめる1年投与群でみると未熟骨髄細胞から分泌されるといわれるS100A8/A9の遺伝子発現が有意に上昇していた。 以上より、食餌性肥満マウスにおいて肝硬変、肝癌を発症しその過程においてNKT細胞の低下や未熟骨髄細胞の増加が関与していることが示唆された。本研究結果はNAFLDの進展にはNKT細胞や未熟骨髄細胞の割合の変化があり、その進展予防のためにNKT細胞や未熟骨髄細胞の遊走を制御することが治療ターゲットになりうる可能性を示唆した、臨床的に意義の大きい成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NAFLDはヒトにおいて長期の経過で進行するため脂肪肝炎から発癌するまでの過程は明らかでない。平成25年度では食餌性肥満マウスモデルを用いて、脂肪肝炎、肝硬変、自然発癌に至る過程を観察し野生型マウスにおいても脂肪付加により自然発癌することを示した。この結果はNAFLDにおいて脂肪肝から脂肪肝炎がおこる過程で免疫細胞の構成が変化していることから、NAFLDにおける免疫を介した治療の有用性を示唆したものであり、臨床上も非常に有意義であると考えている。研究結果も着実に出ており、本申請課題はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の結果をもとに、NAFLD病態における未熟骨髄細胞とS100A8/A9の関与について検討を行う。具体的にはS100A8/A9の発現増加が未熟骨髄細胞に由来するかを免疫染色(多重染色)やフローサイトメトリー(細胞内S100A8/A9染色と細胞表面マーカーとの染色で検討する)また、抗S100A8/A9抗体投与やS100A9欠損マウスを用いた解析により、S100A8/A9発現抑制がNAFLD病態に与える影響や、S100A8/A9発現ベクター投与によるS100A8/A9過剰発現系を用いた解析によりS100A8/A9過剰発現がNAFLD病態に与える影響について検討を行う。
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[Presentation] Immunological amplification of CXCL1-S100A8 loop via CXCR2-expressing CD11b+ Gr-1high cells in the development of nonalcoholic fatty liver disease.2013
Author(s)
Kaori Mukai, Takuya Miyagi, Kumiko Nishio, Yoshinobu Yokoyama, Teppei Yoshioka, Yoshinobu Saito, Tsukasa Kawaguchi, Satoshi Aono, Satoshi Tanaka, Satoshi Shimizu, Hayato Hikita, Ryotaro Sakamori, Yoshihiro Kamada, Tomohide Tatsumi and Tetsuo Takehara
Organizer
The 64th Annual Meeting of the American Association for the study of Liver Disease.
Place of Presentation
Washington, USA
Year and Date
20131102-20131105
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