Outline of Annual Research Achievements |
今回、当院および関連施設にて2015年9月までにDCV/ASV療法を考慮したC型肝炎607例について薬剤耐性変異を測定した(Invader法).変異結果をもとに治療が開始された前治療SMV3剤併用療法非著効例10例を含む320例(平均年齢:69.9±8.8歳,男性/女性:143/177例)において,安全性や治療効果に関連する因子を解析した.また,一部の症例において次世代シークエンサーを用いた耐性変異の解析を行った.全577例における薬剤耐性変異頻度は,Y93H陽性/弱陽性:18%/20%, L31F/M/V陽性/弱陽性:5%/8%, D168E/T/V陽性/弱陽性:6%/32%であり,5例(0.9%)でL31とY93の多重変異を認めた.副作用中止率は2.2%(3/137)であり, 中止理由は肝酵素上昇,頭痛であった. ALT上昇を認めた時期は,全例が治療開始4週以降であり, 7例(5.3%)でALTが200 IU/l以上となった.治療成績(SMV3剤併用療法非著効例を除く)は, RVR率が83%(235/282), 治療終了4週後陰性化率(SVR4)が96%(74/77)であった.治療前のY93H,L31M/Vいずれかの変異別SVR4は,陽性67%(2/3), 弱陽性92% (11/12), 陰性100% (60/60)であり,著効率に有意差を認めた(p=0.0005, Mantel-Haenszel test).D168変異別SVR4は,陽性100%(6/6), 弱陽性93% (26/28), 陰性100% (41/41)と差を認めなかった. SMV3剤併用療法非著効例の治療成績は,RVRが100% (8/8), SVR4が33% (1/3)であった. Invader法による治療前のD168V/E変異陽性/弱陽性率は,25%(2/8)/50%(4/8)であった.一方,次世代シークエンサーでは,89%(8/9)でD168V/Eが検出され,変異頻度は0.5%~98.9%であり、SMV治療失敗からの期間が短い症例で変異頻度が高い傾向を認めた.非著効となった2例の治療前D168変異頻度は,D168E 46%とD168V 57%だったのに対し,著効例はD168V/E 2.8%/1.1%だった.以上より,前治療SMV非著効例では,D168変異残存の程度が難治要因となる可能性が示唆された.
|