2014 Fiscal Year Research-status Report
膵神経内分泌腫瘍における腫瘍間質間相互作用を標的とした新規治療法の開発
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25461025
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 鉄英 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50253448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 久人 九州大学, 大学病院, 講師 (60467941)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膵神経内分泌腫瘍 / 腫瘍間質間相互作用 / 膵星細胞 / Ki-67 / mTOR pathway / SSTR / 予後 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵神経内分泌腫瘍(PNET)は、一般的に進行が緩徐な腫瘍と考えられているが、多発肝転移症例などは通常型膵癌と同様に予後が著しく不良であり、新たな治療法が期待される。本研究ではPNETにおける腫瘍間質相互作用の病態を明らかにし、膵星細胞に着目した新規治療標的の開拓を行うことが目的である。 平成25年度は、PNET患者組織標本を用いて膵星細胞の局在を明らかにし、PNET組織周囲に存在する膵星細胞の発現分子、受容体を明らかにした。平成26年度は、さらに免疫蛍光組織学的染色法を用いて、PNETならびに膵星細胞の膵組織および腫瘍内局在を、さらに腺房細胞ならびに導管細胞、正常膵ランゲルハンス島、血管、神経との解剖学的関係も同時に検討した。その結果をもとに、臨床データーと腫瘍細胞の細胞分裂度、Ki-67との相関、ホルモン産生との相関、遠隔転移との相関、予後との相関、治療反応性との相関を多変量解析を用いて分析し結果を日本消化器病学会(平成27年4月)にて報告した。 さらに、神経内分泌腫瘍細胞株Bon-1を用いて、膵星細胞との相互作用の検討をおこなっている。具体的には膵星細胞の機能である細胞外基質産生、分解、各種成長因子の発現、分泌、増殖、遊走がどのように変化するか検討中である。 また間質因子として、膵星細胞から分泌される因子によってBon-1細胞のmTOR pathwayならびにSSTR発現がどのように変化するかを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね、当初の計画通りに進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで得られたデータをもとに、膵星細胞とBon-1細胞の共培養実験系を用いて、非接触、接触条件下における腫瘍間質相互作用の変化をみる。膵星細胞はコネキシンなどの細胞細胞間結合にとって重要な分子を発現しているため、腫瘍細胞との接着によってもたらされる変化が存在しうる。これらの接着分子の発現変化、ならびに中和抗体を用いて、中心的役割を担う分子の同定を行う。腫瘍の増殖に関与するPDGF、IGFなどの成長因子ならびに上皮間葉形質転換に関与するTGF-β、血行性転移に関与するVEGFの発現を免疫組織化学的に評価する。また腫瘍側におけるこれら成長因子の受容体発現も同時に検討する。 以上の結果からPNETにおける腫瘍間質変化に関わる候補分子、受容体が明らかにされる。また、既に治療薬として確立しているmTOR inhibitor, somatostatin analogの標的となるmTOR pathwayならびにSSTRの発現についても同時に検討し、これらの治療薬の標的として膵星細胞が存在するかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究の遂行上、試薬や抗体・消耗品が先ず必要でありマイクロプレートリーダーを学内共有のものを使用したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬・抗体・消耗品及び機材を研究計画に従い使用する。
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