2013 Fiscal Year Research-status Report
発現制御型センダイウイルスベクターを用いたインスリン産生細胞の誘導と機能解析
Project/Area Number |
25461030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | DNAVEC Corporation |
Principal Investigator |
佐伯 晃一 ディナベック株式会社, その他部局等, 研究員 (40360052)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 細胞移植 / 血糖値 |
Research Abstract |
ヒトiPS細胞の樹立には種々のベクターが用いられているが、他のベクターに比べ、細胞質増幅型のRNAウイルスであるセンダイウイルス(SeV)ベクターは原理的に染色体に取り込まれることはなく、遺伝毒性がないという点で極めて優れたベクターである。1)本研究ではOCT4、SOX2、KLF4、c-MYCを搭載したSeVベクターを用いて樹立したヒトiPS細胞からインスリン産生細胞の分化誘導を行い、インスリン抗体を用いた免疫染色の結果からインスリン陽性細胞が得られたことを確認した。さらに、インスリンELISAによって細胞培養上清へのインスリン分泌を確認した。2) C57BL/6Nマウスを用いてストレプトゾトシン(STZ)誘発性糖尿病モデルの検討を行い、STZ単回投与による高血糖の誘発を確認した。同時に腎皮膜下へインスリン産生細胞(マウスインスリノーマであるNIT-1細胞)の移植による血糖値の低下と移植腎の摘出による血糖値の上昇確認し、手技の習得を行った。次に免疫不全マウス(NOD-scid)に対してSTZ誘発性糖尿病モデルの作製を試みたが、参考文献から得られたSTZ濃度(低用量のSTZを複数回投与)では十分な高血糖が得られず、STZ投与濃度の検討を行った。その結果、解析に十分な血糖値を示す条件の設定に成功した。さらにNIT-1細胞を腎皮膜下に移植したところ血糖値が低下し、移植腎の摘出によって血糖値の再上昇を観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)インスリン産生細胞の分化試験において予想以上に高いインスリン産生能力を有した細胞が得られている。 2)文献情報に従って免疫不全マウス(NOD-scid)におけるストレプトゾトシン(STZ)誘発性糖尿病モデルの作製を行ったが、文献情報通りのSTZ濃度では十分な高血糖状態が再現されず、最適なSTZ濃度の検討を行った。本検討により動物モデルの確立に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は前年度に確立した糖尿病モデルマウスに対してインスリン産生細胞の移植による機能解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
免疫不全(NOD-scid)マウスのストレプトゾトシン(STZ)投与糖尿病モデルの作製において論文情報通りのSTZ濃度ではモデル動物が得られず、STZ濃度検討試験を必要としたこと。1月に動物業者の都合でNOD-scidマウスが入手困難であったこと。以上の2点から高額なNOD-scidマウスの使用量が予定より少なくなり、次年度使用の主因となった。学会参加を予定していた時期にインフルエンザに罹患し、参加を中止したことも理由の1つである。 前年度に得られた糖尿病モデルマウスの検討結果に基づいて糖尿病モデルマウスへの細胞移植試験(NOD-scidマウスの購入)や物品購入を進める予定である。
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