2015 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子変異、負荷心エコーによる心予備能測定をもとにした薬剤性心筋症発症因子の予測
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25461044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 直 東京大学, 医科学研究所, 助教 (00597271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 直秀 東京大学, 医科学研究所, 教授 (90174680)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 薬剤性心筋症 / 心臓超音波検査 / 左室拡張機能 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
血液腫瘍に対する化学療法ならびに造血幹細胞移植を受ける患者を登録するためのデータベースシステムを構築した。安静時および下肢挙上による負荷心臓超音波検査の指標を中心に、BNP、高感度トロポニンT、高感度CRPやその他の心筋バイオマーカー(Pentraxin 3 , ST2)、心電図、胸部単純X線検査、冠危険因子や胸部への放射線照射の既往などの病歴を検討項目として、患者登録を行った。82名の患者を登録し、治療前後で、上記検討項目を比較し得た76名について解析を行った。 顕性心不全発症、心臓超音波検査で左室駆出率が50%以下に低下、もしくは抗癌剤投与後のBNP値が正常値上限の2倍以上かつ抗癌剤投与前の2倍以上に上昇した患者を、薬剤性心筋症発症群とした。76名のうち、5名 (6.6%)が薬剤性心筋症を発症した。薬剤性心筋症発症群の患者背景としては、造血幹細胞移植を受けた患者が3名、化学療法を受けた患者が2名であった。薬剤性心筋症発症群を、非発症群と比較した場合、抗癌剤投与前の心臓超音波検査で、心筋症発症群では、有意に左室拡張機能が低下していた。特に、Diastolic wall strain値は、心筋症発症群で0.35 [0.32-0.37]、非発症群で0.41 [0.39-0.45] と、発症群で低下を認めた(P=0.04)。下肢挙上による前負荷増加での変化は、両群で有意差を認めなかった。BNP、高感度トロポニンT、高感度CRP、Pentraxin3、ST2は、両群で差を認めなかった。 薬剤性心筋症発症例では、抗癌剤投与前にすでに、左室拡張機能が低下している可能性が示唆され、これを検出することにより、薬剤性心筋症を発症前に予測できる可能性がある。これまでの結果は、比較的症例数が少ないため、今後さらに症例数を重ね、この結果をより確実なものにする必要があると考える。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Left Atrial Remodeling Assessed by Transthoracic Echocardiography Predicts Left Atrial Appendage Flow Velocity in Patients With Paroxysmal Atrial Fibrillation.2016
Author(s)
Watanabe A, Suzuki S, Kano H, Matsuno S, Takai H, Kato Y, Otsuka T, Uejima T, Oikawa Y, Nagashima K, Kirigaya H, Kunihara T, Sagara K, Yamashita N, Sawada H, Aizawa T, Yajima J, Yamashita T.
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Journal Title
International Heart Journal
Volume: 57
Pages: 177-82
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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