2014 Fiscal Year Research-status Report
腹部大動脈瘤と瘤周囲脂肪との炎症性クロストークの解明
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25461068
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
桑木 賢次 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90398313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 訓 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20407315)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大動脈瘤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は大動脈瘤周囲の脂肪と大動脈壁のクロストークを検討するものであり、腹部大動脈瘤に対する開腹手術症例が年々減少しているため、本年度も続けてサンプル採取を行うとともに、昨年度中に採取した脂肪組織からの解析用サンプルの作成を行った。脂肪組織は除外基準を除きこれまで23人から得られた。それぞれの症例から皮下脂肪、大動脈瘤壁およびその周囲脂肪、正常大動脈部位の脂肪を採取した。患者の平均年齢は66.6歳であり、男性22症例、女性1例であった。術前合併症として、高血圧が14例、脂質異常症20例、糖尿病は3例であった。腎機能低下も4例に認めたが透析症例はなかった。また21例で喫煙歴を認めた。術前内服薬としてスタチンを18例で服用しており2例は未治療であった。ベータ-ブロッカーは10例、ACEもしくはARBは9例、カルシウムブロッカーは7例で服用していた。インスリンは1例のみで導入されていた。 得られた組織をそれぞれRNA採取用に保存し、大動脈瘤壁およびその他の部位においても採取した脂肪が十分に多い場合は、4%のパラホルムアルデヒドに浸透したのち脱水を行い凍結組織切片とした。残りの組織をウェスタンブロット解析用とし、さらに脂肪が残存している場合は心房幹細胞培養用のサンプルとし、採取日より2回継代するまで脂肪幹細胞培養を行った。得られた脂肪幹細胞の数をカウントした後、凍結保存とした。また細胞の上清を、継代するごとに保存し、ELISA解析用の試料として保存した現在これらのサンプルを解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大動脈瘤に対する開腹手術症例がかなり減少しておりサンプル採取に時間を要したこと、サンプル一部の組織において試料の解析に対する十分量を得るため工夫を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も多くの症例をリクルートすることは難しいと考えられるため、既存の脂肪サンプルで解析を進める。まずは凍結切片とした大動脈瘤壁および周囲脂肪に対してマクロファージおよび炎症性サイトカインの染色を行い、脂肪組織と大動脈瘤壁に炎症が波及しているかどうかを検討する。次いでPCR法にて脂肪から放出される炎症サイトカイン(TNFα、IL-6、IL1β)を測定、これを部位別に比較検討する。さらにアディポサイトカインであるアディポネクチン、レプチン、アンジオテンシノーゲンを測定、これらのサイトカインの発現と患者背景因子(年齢、性別、虚血性心疾患の有無、血清脂質による差異、糖尿病の有無による差異、内服薬[スタチン、DPP4阻害剤]の内服の影響)などを比較検討する予定である。
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Causes of Carryover |
サンプルの調整がやや遅延したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画通りサンプルの作成及び解析を進める予定であり、それに必要な物品を購入する予定である。
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