2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25461079
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
堀尾 武史 川崎医科大学, 医学部, 教授 (50393228)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心房細動 / 高血圧 / 縦断研究 / 降圧薬 / レニン・アンジオテンシン系 |
Outline of Annual Research Achievements |
心エコー検査を施行した外来および入院高血圧患者約1500例の既存のデータベースをもとに、本研究のために対象例を選定した。検査時洞調律であり、かつ発作性心房細動の既往、心不全、心筋梗塞、心筋・心膜疾患、弁膜症、左室壁運動異常ならびに透析合併例を除いた1118例(男性580例、女性535例、平均年齢63±11歳)を対象とし、心房細動新規発症と臨床背景因子ならびに心エコー指標との関連を調べた。Cox比例ハザード解析を用いて検討した結果、背景因子では年齢、喫煙歴、推定糸球体濾過率(eGFR)、蛋白尿、慢性腎臓病(eGFR<60ml/min/1.73m2かつ/または尿蛋白≧1+)の有無が、心エコー指標では、心室中隔壁厚、左室後壁厚、左室重量係数、相対壁肥厚度、左房径、下大静脈径が心房細動発症に有意に関連していた。収縮能、拡張能の各指標は心房細動新規発症と有意な関連性を示さなかった。 次に、投薬内容が観察終了時まで確認できた1022例を対象に、レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬が心房細動新規発症におよぼす影響を検討した。Kaplan-Meier分析による心房細動累積発生率はRA系阻害薬使用群で低下傾向にあったが、有意には達しなかった(P=0.057)。しかしながら、RA系阻害薬の使用にはバイアスがあり、その背景因子を調節するため、propensity score matching法を取り入れ、再度解析を行った。RA系阻害薬の使用に関連する因子を30項目選定し、多重ロジスティック回帰によりpropensity scoreを算出、1:1(各群N=326)で背景を完全にマッチさせた2群で検討したところ、心房細動の発生頻度はRA阻害薬非使用群に比べ使用群で有意に低く、Kaplan-Meier曲線での累積発生率もRA系阻害薬使用群で有意に減少していた(P=0.013)。この結果より、高血圧患者においてRA系阻害薬の使用は心房細動の新規発症を抑制することが明確に示された。
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Research Products
(3 results)