2013 Fiscal Year Research-status Report
アディポネクチン増加作用により抗動脈硬化を示す新規遺伝子発現制御薬の開発
Project/Area Number |
25461092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
常見 明子 日本大学, 医学部, 研究員 (90646035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 高浩 日本大学, 医学部, 准教授 (40386008)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | PIポリアミド / アディポネクチン / メタボリックシンドローム / 抗動脈硬化作用 |
Research Abstract |
アディポネクチンを増加させるPIポリアミドは負の転写調節をするAP2βの結合部位に3種類デザインした。デザインしたPIポリアミドはペプチド合成機PSSM-8を用いて合成し、HPLCで精製した。合成したPIポリアミドのターゲット部位を含むアディポネクチンプロモーター21bp分の配列で2本鎖オリゴDNAを作成し、PIポリアミドとともに20%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動を行なったゲルシフトアッセイでは、3種類ともにPIポリアミドのターゲット配列への結合を確認した。 これら3種類のPIポリアミドをそれぞれ1μM添加したDMEM培地で脂肪細胞を培養すると、このうちの2種類のPIポリアミドで、アディポネクチン mRNAの発現増加がreal-time PCRで認められた。またwestern blotにてアディポネクチンタンパク質の発現を検討したところ、mRNAの発現と同様に増加が認められた。効果のなかったPIポリアミドはAP2βの結合する部位の近位にある正の転写調節をするNF-YAの結合部位に、PIポリアミドの一部が結合するデザインとなっていたためであると考えられた。 次にアディポネクチンがコレステロールの逆転送に関わるABCA1 mRNAを増加させる事を確認するために、球状アディポネクチン1uMを培養肝細胞であるNCTC1469細胞やマクロファージ細胞のRAW264細胞の培養液に添加して培養したところ、コントロールに対してABCA1の発現が有意に増加をした。この結果を元にPIポリアミドと共に培養した3T3L1脂肪細胞が分泌するアディポネクチンがNCTC1469細胞やRAW264細胞のABCA1 mRNAの発現を増加させるかどうかを検討する為に共培養を行なったが、明確な差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
内臓脂肪の蓄積に伴って減少する脂肪細胞が分泌するアディポネクチンの発現を増加させ、肥満や耐糖能異常、脂質代謝および動脈硬化を改善する遺伝子発現制御薬PIポリアミドの開発を目指している。デザイン、合成したPIポリアミドは、3T3L1脂肪細胞のアディポネクチンを増加させたが、培養肝細胞等の共培養系において、それらの細胞のABCA1やapoA1対する3T3L1脂肪細胞が分泌したアディポネクチンに対する効果が明確でなく、評価できていない。3T3L1細胞は脂肪細胞に分化する過程でABCA1の発現を増加させるアディポネクチンやを分泌するのと同時にTNFaやMCP-1、PAI-1などABCA1の発現を減少させる物質も分泌するためと考えられ、評価の方法を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
培養実験において、PIポリアミドによって3T3L1脂肪細胞で発現増加したアディポネクチンがNCTC1469細胞やRAW264細胞のコレステロールの逆転送に関わるABCA1等の発現を増加させる事を確認後、低アディポネクチン血症を呈する肥満マウスの尾静脈よりPIポリアミドを投与し、マウスの血中アディポネクチン値に対する効果を検討する。さらに肥満マウスを高脂肪食で飼育し、PIポリアミドがマウスの血中グルコース値やコレステロール値、インスリン抵抗性、肥満等に対する効果の検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費残高で購入したい物品がなかった。 次年度の消耗品費に合わせて使用する。
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