2014 Fiscal Year Research-status Report
アディポネクチン増加作用により抗動脈硬化を示す新規遺伝子発現制御薬の開発
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25461092
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
常見 明子 日本大学, 医学部, 研究員 (90646035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 高浩 日本大学, 医学部, 准教授 (40386008)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | PIポリアミド / アディポネクチン / メタボリックシンドローム |
Outline of Annual Research Achievements |
アディポネクチンを増加させるPIポリアミドは負の転写調節をするAP2βの結合部位に3種類デザインした。このうちの2種類のPIポリアミドは3T3L1 adipocyteの培地に1μMを添加して培養すると、アディポネクチンの培地中への分泌をコントロールであるミスマッチPIポリアミドより増加させた。このPIポリアミドを添加して培養した脂肪細胞の培地でマクロファージ細胞であるRAW264細胞を培養すると、アディポネクチンの様々な作用の一つと言われているコレステロールの逆転写に関与するABCA1のmRNAの発現をコントロールより有意に増加させた。 この二つのPIポリアミドのうちの1つについて、糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウスの尾静脈より1mg/kg BWで一日おきに6週間投与を行なった。実験終了1週間前にインスリン投与試験( ITT )およびグルコース負荷試験( GTT )を行ったところ、ITTではPIポリアミド群でインスリン感受性の改善が認められた。またGTTにおいてはインスリンの分泌能には差が認められなかったが血中グルコースの上昇を有意に抑制した。実験終了時における体重の差は認められなかった。血漿中のアディポネクチン値は有意差は認められないものの、PIポリアミド群で上昇傾向が認められた。また血漿グルコース値も有意差はないものの実験群で低下が認められた。インスリン値、TC値においては差は認められなかったが、TG値はPIポリアミド群で有意に低下傾向を認めた。それ以外の機能については現在、解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
内臓脂肪の蓄積に伴って減少する脂肪細胞が分泌するアディポネクチンの発現を増加させ、肥満や耐糖能異常、脂質代謝および動脈硬化を改善する遺伝子発現制御薬PIポリアミドの開発を目指している。今年度はデザイン、合成した PIポリアミドのうち培養細胞で効果が認められた中の一つを、糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウスに投与を行なった。現在は解析中である。db/dbマウスは体重、血中グルコース値、インスリン値、アディポネクチン値において個体差があり、効果が期待できると思われるも統計学的な有意差が認められないデータがあるため、PIポリアミドの投与量の変更、または頭数の追加あるいは実験マウスの変更等を考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
PIポリアミドを投与した糖尿病ラットについて、インスリン抵抗性等に対する効果や各臓器に対する影響など、引き続き解析および検討を行なう。さらにapoEノックアウトマウスのような動脈硬化症モデルマウスに脂肪食負荷し、アディポネクチンを増加させるPIポリアミドを尾静脈より投与することで、血清脂質や動脈硬化に対する効果を検討を行う。
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Causes of Carryover |
研究費残高で購入したい物品がなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の消耗品費に合わせて使用する。
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