2013 Fiscal Year Research-status Report
心臓微小低酸素領域における遺伝子発現・血管新生の3次元解析を応用した治療法の開発
Project/Area Number |
25461104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 光一 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (20567010)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アデノ関連ウイルス / Epiregulin |
Research Abstract |
平成25年度においてまずアデノ関連ウイルス(AAV9: Adeno-associated virus 9)を使って遺伝子発現の確認を行う予定としていた。我々はAAV9-LacZを作成し、マウス尾静脈より5e+11、10e+12(GC)量のウイルスを投与し、各臓器でのLacZの発現をX-gal染色によって1週、2週、4週で確認した。心臓特異性の高いウイルスである報告がされていたが実際我々自身が作成したAAV9ウイルスが適切に働くことの確認を試みた。心臓においては静脈投与においても1週後にX-gal陽性心筋細胞が増え始め2週以降は過半数の心筋細胞がX-gal陽性細胞となっていた。その後4週後の標本においても7割を超える心筋細胞で遺伝子発現が確認された。同時に骨格筋、肝臓、腎臓などにおける遺伝子発現を評価した。心臓では2週後には強い発現がみえられていたが骨格筋、肝臓でわずかな陽性細胞をみるのみであった。腎臓の細胞においてはほとんど遺伝子は発現していなかった。Epiregulinの心筋梗塞における治療的効果を評価したいと考えているが同ウイルスベクターによって心臓内で充分な蛋白発現を誘導することが可能であることが確認された。 続いて我々はEpiregulinをクローニングしAAV作成ベクターに導入した。遺伝子配列の確認も行い正常にクローニングがされていることを確認した。同プラスミドをリポフェクタミンによって培養細胞に導入し、プラスミドによって正確な蛋白が作成されることをウエスタンブロットによって確認した。AAV9-Epiregulinを作成するためのプラスミドが正常に作成できたことが確認されたことになる。現在このプラスミドを利用して動物実験に必要なAAV9-Epiregulin(ウイルスベクター)を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コントロールのウイルスベクター(AAV9-LacZ)を作成し、その遺伝子発現をマウスにおいて評価することが概ね終わった。心筋特異的発現ベクターであることが報告されているが我々の系においても予測されていた発現が確認できた。 更に治療ウイルスベクターであるAAV9-Epiregulinの作成に必要なプラスミドの作成が終了している。またそのプラスミドベクターが正しい蛋白を作成することもウエスタンブロットにて確認できている。数か月のうちにはコントロールベクターの作成と同様の方法でAAV9-Epiregulinを作成することが可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
AAV9-LacZとAAV9-Epiregulinをマウスの実験のために大量作成する。本実験の前にAAV9-Epiregulinを野生マウスに投与し心筋細胞で実際蛋白が発現できていることをウエスタンブロットにて確認する。また心筋梗塞マウスにAAV9-LacZを投与し、心筋梗塞下でもウイルスが心筋細胞以外の繊維芽細胞や炎症性細胞に導入されていないかも確認する。 その上でAAV9-LacZもしくはAAV9-Epiregulinを5e+11投与し、発現がはじまる1週後に心筋梗塞を誘導する。その後の生存率、炎症性細胞の浸潤、繊維芽細胞の活性化、新生血管の発達を組織学的に評価する。治療効果が当初の投与量で充分に確認されない場合は倍量投与することで変化があるか確認する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
治療効果を評価を行う実験のための準備としてウイルスベクターの作成を進めている。順調に準備は進んでいると言えるがまだ発表できるような結果は得られていない。そのためまだ学会での発表はできないため出張費はない。 またウイルスの大量作成を平成25年度内には行っておらず大量作成に必要な材料費が含まれていない。 マウスでの治療効果が確認された場合、国内、国際学会で発表していくことになる。そのため旅費が必要となる。またウイルスの大量作成も間もなく行うためそのための経費も必要となっていく。
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