2014 Fiscal Year Research-status Report
心不全における心→脳連関による脳内異常:食塩感受性と食塩嗜好性獲得の機序解明
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25461112
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 浩司 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 学術研究員 (10452757)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心不全 / 交感神経 / 心脳 臓器連関 / 食塩 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度(H25年度)までの研究成果で、心不全モデル(圧負荷モデル、心筋梗塞モデル)において、脳内視床下部における炎症性サイトカインの増加を来すことを確認できており、本年度はその心不全モデルにおける脳内炎症惹起のメカニズムとして求心性心臓交感神経 (CSA)の役割を明らかにした。 まず、心臓交感神経 (CSA) 過剰刺激の影響を観察するため、正常マウスを用いて心表面CSA末端に存在するTRPV1 (カプサイシン受容体)刺激を行った。カプサイシンを浸潤させたろ紙を左室表面に貼付したところ、3日後に視床下部における炎症性サイトカイン(TNF)とNaチャネル(ENaC)の発現増加を認めた。また、このENaC発現は、TNF阻害剤脳内投与で抑制される、つまりCSA刺激→TNF増加→ENaC増加が確認された。 また、このCSA刺激群で食塩感受性交感神経活性化を来すことも確認できた。続いて、左室表面TRPV1を脱感作させたところ脳内視床下部の炎症性サイトカイン、ENaCの発現低下傾向も確認できた。 さらに、CSA刺激群において、食塩負荷後は視床下部ミネラルコルチコイド受容体(MR)系の活性化も生じ、ENaC活性化が維持されることも明らかにできた。不全心では、CSA活性化が生じることが知られており、心不全における食塩感受性獲得に、CSAを介した心脳連関からの脳内炎症惹起が重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的である求心性心臓交感神経の脳内炎症惹起における役割を示すことができた。 研究計画にあるように、TRPV1ノックアウトマウスを用いた研究も行ったが、全身ノックアウトモデルであるため、結果の解釈が難しい状況であった。 そのため、心臓特異的にTRPV1を阻害する目的で薬理的TRPV1脱感作を行う実験を行い、想定していた仮説の証明を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、大まかな枠組みを示す実験データは得られており、今後はデータ補強のための追加実験、成果報告等を行い、実験のまとめを行っていく。
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Causes of Carryover |
本研究の論文を掲載する雑誌の刊行が、急遽、次年度にずれ込んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究の論文を掲載する雑誌が刊行されたら、掲載料・別刷料に使用予定である。
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