2013 Fiscal Year Research-status Report
新規Akt基質Girdinファミリー分子の制御による動脈硬化抑制の試み
Project/Area Number |
25461124
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前田 健吾 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (80456673)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Gipie / Girdin |
Research Abstract |
新規小胞体ストレス制御分子であるGipieの血管平滑筋細胞での機能解析を中心に研究を行った。Gipieは増殖能と旺盛なタンパク分泌能を有している分泌型の血管平滑筋細胞で発現を認め、細胞内では小胞体とゴルジ体に局在していた。しかし、増殖能、タンパク分泌能に乏しい収縮型の血管平滑筋細胞では発現を認めなかった。分泌型の血管平滑筋細胞にタプシガルギンで小胞体ストレスを惹起するとGipieは経時的に発現が増加していった。GipieをsiRNAを用いてノックダウンすることで、血管平滑筋細胞での機能を解析した。GipieのノックダウンによりJNKのリン酸化の増強を生じることが判明した。XBP-1のスプライシングやeIF2αのリン酸化、CHOPの発現量には有意な変化は認められなかった。これらの結果から、Gipieは小胞体ストレスに際して発現が誘導されるタンパクであり、IRE1αの下流のシグナル伝達に関与して、JNKの活性化を調節していると考えられた。 次に血管平滑筋細胞でGipieの生物学的意義について検討した。血管平滑筋細胞にアスコルビン酸を作用させるとコラーゲンの産生・成熟が促進される。この過程ではコラーゲンの前駆体が小胞体で適切な修飾を受けたのちに切断されることが必要であることが知られている。Gipieのノックダウンにより、アスコルビン酸で誘導される成熟したコラーゲン産生が低下していた。また、Gipieのノックダウンにより、血管平滑筋の増殖が低下し、タプシガルギン負荷で誘導されるアポトーシスが亢進していることも判明した。 これらの結果から、Gipieは分泌型の血管平滑筋細胞に選択的に発現していて、小胞体機能、細胞増殖、アポトーシスに関与していると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血管平滑筋細胞におけるGipieの生物学的意義は順調に検討することができ、一定の結果を得ることができた。GipieはIRE1の下流でJNKの活性化を制御することが判明したが、同じくIRE1の下流にあるXBP-1のスプライシングは影響を受けなかった。この再現性を確認するために予想よりも時間がかかった。いくつかのIRE1のリン酸化抗体でGipieのノックダウンによりIRE1のリン酸化に違いを生じないか検討したが、明確な差は認められなかった。この再現性も確認するために予想よりも時間を要した。 ラット頸動脈のバルーン擦過モデルでのGipieによる遺伝子治療の効果も検討する予定であったが、疾患モデル作成に関していくつか問題が生じ、解決に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在判明している事実からは、GipieがIRE1の下流でJNKの制御にのみ選択的に作用しているメカニズムは解明するのが困難と思われた。今後は、予定通りin vivoでのGipieのノックダウンが、血管損傷後の新生内膜形成に及ぼす影響を検討していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はラットの頸動脈バルーン擦過モデルでの、Gipieのノックダウン、過剰発現が新生内膜形成に与える影響も評価する予定だった。ラット頸動脈バルーン擦過モデルで安定した新生内膜形成が得られるまでに当初予定より時間を要した。また、アデノウイルスベクター注入後の血管で、コントロール、Gipieノックダウン群の両者で血栓を生じる問題が発生した。注入するアデノウイルスベクター溶液の量を調節することで解決し、最終的には良好なノックダウン効率、Gipieの発現量を維持したモデルを作成できた。これらの問題のために、当初予定より研究が遅延した。 現状ではラット頸動脈バルーン擦過モデルに関する諸問題も解決している。前述の問題により当初予定より遅延は認めているものの、現在は順調に研究は進んでいる。26年度はバルーン擦過モデルの作成、新生内膜厚の評価、細胞のアポトーシス、増殖能を検討するためのTUNEL染色やPCNAの免疫染色などを進めていく予定である。25年度未使用分の助成金はこのために必要になるラット、フォガティバルーンカテーテル、各種試薬の購入に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Therapeutic reendothelialization by induced pluripotent stem cells after vascular injury--brief report.2013
Author(s)
Yamamoto T, Shibata R, Ishii M, Kanemura N, Kito T, Suzuki H, Miyake H, Maeda K, Tanigawa T, Ouchi N, Murohara T.
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Journal Title
Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology.
Volume: 33(9)
Pages: 2218-2221
DOI
Peer Reviewed