2016 Fiscal Year Annual Research Report
The investigation of non-neuronal cholinergic inflammtation in bronchial asthma
Project/Area Number |
25461163
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
東元 一晃 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (60363628)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 博雅 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30264039)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 喘息 / アセチルコリン / ムスカリン受容体 / 好酸球 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、長時間作用型抗コリン薬:LAMA(チオトロピウム:TIO)が喘息の症状改善、増悪減少などの効果を示し、その気管支拡張以外の作用が関与することも考えられることから、コリン作動性炎症が喘息の病態にも関与する可能性を考え、 ①気管支喘息の病態における「コリン作動性炎症」の役割の解明②抗コリン薬(ムスカリンM3受容体拮抗薬)のアレルギー性気道炎症制御と、そのメカニズムの解明③臨床的に喘息患者での気道炎症制御の効果の確認などを目的として開始された。 まず、喘息モデルマウス(OVA感作曝露モデル)では、肺への好酸球浸潤の増強とともに、アセチルコリン産生に関与するCholine acetyltransferase(ChAT)の減少が確認された。また、ムスカリン受容体(M3)の発現は変化しなかった。このモデルにおける抗コリン薬投与は、気管支肺胞洗浄液(BALF)における総細胞数の減少と好酸球の軽度減少が確認された。機序については、IL-4、IL-13といったサイトカインの発現低下が全肺mRNAおよびBALFでのELISAによって確認がなされ、ケモカイン(Ccl11)の発現低下もみられた。ChATは抗コリン薬でも変化が見られなかったものの、ムスカリン受容体(M3r)はむしろ発現が亢進した。人における臨床効果は、抗コリン薬による症状改善はみられるものの、炎症マーカー(好酸球数、FeNO)の変化は確認できなかった。 喘息における抗コリン薬の効果は気管支拡張のみならず、M3R発現制御、炎症性サイトカイン制御などを介した抗炎症効果が関与する可能性が確認された。今回の結果からは人におけるコリン性炎症の制御についての十分な知見は得られなかったが、今後、種々の免疫メカニズムにおけるコリン性炎症の関与についても研究を継続しており、これらについて、現在、論文作成の準備中である。
|