2014 Fiscal Year Research-status Report
喘息における新規バイオマーカーとしてのCD27陰性CD4陽性T細胞の役割
Project/Area Number |
25461167
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
原田 紀宏 順天堂大学, 医学部, 助教 (10465065)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 気管支喘息 / 補助シグナル分子 / バイオマーカー / Th2 / CD27 / ペリオスチン / テネイシンC |
Outline of Annual Research Achievements |
Th2型免疫反応は気管支喘息などのアレルギー性炎症において中心的な役割を担っている。しかし、Th2型炎症を採血等で簡便に評価し得るバイオマーカーはこれまでになく、また、Th2サイトカインを標的とした治療薬の開発が進められているものの、IL-5やIL-13を標的とした治療薬の効果は、気管支喘息症例の一部でしか認められていない。我々は、マウスの研究から、補助シグナル分子CD27陰性CD4陽性T細胞がアレルギー性炎症の新規バイオマーカーと成り得る可能性を見出し、さらには、CD27のリガンドであるCD70に対する抗体がTh2細胞への分化を直接標的とする治療に成り得る可能性を見出している。本研究では、気管支喘息症例のバイオマーカーとしてのCD27陰性CD4陽性T細胞の可能性を明らかにすることを目的としている。平成25年度、26年度は、212症例より検体を採取した。末梢血液中CD27陰性CD4陽性T細胞数は、重症度、治療ステップ、Asthma Control Testスコア、呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)、呼吸機能検査との相関を認めなかった。一方で、CD27陽性CD4陽性T細胞は、末梢血好酸球数、罹病期間、BMI、%FEV1.0、%PEFと弱い正の相関を認めた。また、血清中のペリオスチン、テネイシンCをELISAにて測定した結果では、両者は弱い正の相関を認め、血清ペリオスチンは、FEV1、PEFと弱い負の相関、末梢血好酸球数、FeNO、年齢、発症年齢と弱い正の相関を認め、血清テネイシンCは末梢血好中球数との弱い正の相関を認めた。さらに、血清ペリオスチンとテネイシンCが共に高値の群においては、CD27陰性CD4陽性T細胞数と血清テネイシンCとの間に正の相関を認め、血清テネイシンCが低値の群においては、CD27陰性CD4陽性T細胞数と血清ペリオスチンとの間に正の相関を認めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度、26年度は、212症例で採血を実施し、CD27陰性/陽性CD4陽性T細胞をフローサイトメトリーで解析した。また、174症例においては、ペリオスチン、テネイシンC をELISAにて測定した。結果、上述の如くの結果を得ている。症例集積は順調に進展しており、弱い相関ではあるが、相関も認めているため、おおむね順調に進展しているとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
現状では、CD27陰性CD4陽性T細胞は、重症度、治療ステップ、Asthma Control Testスコア、呼吸機能検査等との相関を認めないことから、病勢を反映するバイオマーカーとしての期待は低い。また、少数ながらCOPD症例との比較も実施したが、喘息症例との有意差は得られなかった。しかし、一方で、マウスの研究成果に反してCD27陽性CD4陽性T細胞と末梢血好酸球数、罹病期間、BMI、%FEV1.0、%PEFとの間に相関を認めており、病勢を反映するバイオマーカーとして、さらなる症例の集積を推進する。また、血清ペリオスチンと末梢血好酸球数、血清テネイシンCと末梢血好中球数とに相関を認め、血清ペリオスチンとテネイシンCが共に高値の群においては、CD27陰性CD4陽性T細胞数と血清テネイシンCとの間に正の相関を認め、血清テネイシンCが低値の群においては、CD27陰性CD4陽性T細胞数と血清ペリオスチンとの間に正の相関を認めた。CD27陰性CD4陽性T細胞と線維化マーカーとの関連を明らかにするために、さらなる解析を推進する。さらには、自然リンパ球とT細胞との関係にも焦点をあて、フローサイトメトリーによる自然リンパ球の解析を追加する。これらにより、喘息の新規バイオマーカー、サロゲートマーカーの開発に留まらず、新たなフェノタイプ・エンドタイプの構築を推進する。
|
Research Products
(9 results)
-
[Journal Article] TWEAK enhances TGF-beta-induced epithelial-mesenchymal transition in human bronchial epithelial cells.2015
Author(s)
Itoigawa, Y., N. Harada, S. Harada, Y. Katsura, F. Makino, J. Ito, F. Nurwidya, M. Kato, F. Takahashi, R. Atsuta, and K. Takahashi.
-
Journal Title
Respir Res
Volume: 16
Pages: 48
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
[Journal Article] Development of Assay for Determining Free IgE Levels in Serum from Patients Treated with Omalizumab.2014
Author(s)
Ito, R., Y. Gon, S. Nunomura, R. Atsuta, N. Harada, T. Hattori, S. Maruoka, Y. Okayama, C. Ra, and S. Hashimoto.
-
Journal Title
Allergol Int
Volume: 63
Pages: 37-47
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
[Journal Article] Comparison of exhaled nitric oxide levels measured by two offline methods and the NO breath® method in Japan2014
Author(s)
Ito J, Tsuburai T, Atsuta R, Watai K, Fukuhara M, Hayashi H, Minami T, Tanimoto H, Oshikata C, Sekiya K, Tsurikizawa N, Fukutomi Y, Harada N, Maeda Y, Mori A, Hasegawa M, Taniguchi M, Takahashi K, Akiyama K
-
Journal Title
アレルギー
Volume: 63
Pages: 1241-1249
Peer Reviewed
-
-
-
[Presentation] アスピリン負荷試験における呼気一酸化窒素濃度・鼻腔内一酸化窒素濃度測定の有用性の検討2014
Author(s)
伊藤潤, 谷口正実, 粒来崇博, 渡井健太郎, 福原正憲, 林浩昭, 南崇史, 三井千尋,押方智也子, 関谷潔史, 釣木澤尚実, 福冨友馬, 原田紀宏, 前田裕二, 森晶夫, 熱田了, 高橋和久, 秋山一男
Organizer
第26回日本アレルギー学会春季臨床大会
Place of Presentation
京都
Year and Date
2014-05-09 – 2014-05-11
-
-
-
[Presentation] 喘息患者における7-8年後の呼気一酸化窒素と呼吸機能の変化2014
Author(s)
伊藤潤, 谷口正実, 粒来崇博, 渡井健太郎, 林浩昭, 南崇史, 三井千尋, 谷本英則, 押方智也子, 関谷潔史, 釣木澤尚実, 福冨友馬, 原田紀宏, 前田裕二, 森晶夫, 熱田了, 高橋和久, 秋山一男
Organizer
第54回日本呼吸器学会学術講演会
Place of Presentation
大阪
Year and Date
2014-04-25 – 2014-04-27