2015 Fiscal Year Annual Research Report
メカノセンサー分子同定に基づく呼吸器疾患の病態解明
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25461188
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 理 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (60378073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 好規 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20270986)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メカニカルストレス / 気道平滑筋 / 気管支喘息 / リモデリング / 肺線維症 / カルシウムイオン / 細胞伸展 / 肺線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、機械的刺激(メカニカルストレス)が呼吸器系細胞の機能を制御する機構を明らかにし、メカニカルストレスの影響により引き起こされる呼吸器疾患の病態解明につなげることである。最終年度は前年度までの研究で得られた知見を基に、更なる発展を求めて研究を展開した。 培養ヒト肺線維芽細胞を用いた実験を行い、メカニカルストレスの影響を検討した。細胞伸展装置を用いた繰り返しの伸展刺激(伸展強度4~20%)によって細胞からATPが放出されることを見出した。このATP放出は伸展強度依存性に増強されることが示された。継時的変化の検討では、放出されたATP濃度は10分間の伸展刺激でほぼピークに達した。血小板由来成長因子(PDGF)刺激によってもATP放出は生じるものの、伸展刺激と比べるとごく微量の放出であった。低浸透圧溶液による細胞膨張によっても細胞伸展刺激と同程度のATP放出を惹起した。一方で、細胞伸展刺激や浸透圧ストレス負荷によっても有意な細胞傷害は引き起こされなかった。以上より、ATP放出を誘導するメカニズムとして細胞膜伸展刺激がトリガーとなる生理的な放出機序が存在することが示唆された。 肺の線維化や肺気道の炎症性疾患において、細胞外ATPは「危険シグナル」として働くメディエーターとして着目されている。細胞伸展により生じるメカニカルストレスは肺線維芽細胞からのATP放出を強く促進することから、肺のリモデリングや炎症を介して肺線維化に促進的に働くと示唆される。
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Research Products
(8 results)