2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒトMUC1発現マウスを用いた肺障害モデルにおけるバイオマーカーの動態解析
Project/Area Number |
25461191
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
窪田 哲也 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (30274377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 彰仁 高知大学, 医歯学系, 教授 (30191513)
大西 広志 高知大学, 医歯学系, 助教 (90553876)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | KL-6 / MUC1 / 間質性肺炎 / 肺障害 / 動物モデル |
Research Abstract |
ヒトMUC1トランスジェニックマウス(Tg)の肺障害モデルを用いて、これまでマウスで測定できなかったKL-6の動態解析を行った。naiveな状態でTgの血清KL-6値は221±18 (U/mL)、BALF中KL-6値は2121±129 (U/mL)であり、野生型(Wt)は検出限界以下であった。免疫組織化学ではTgのII型肺胞上皮細胞や細気管支上皮細胞、肺胞被覆液(ELF)にKL-6が陽性であり、ヒト肺におけるKL-6の局在と一致していた。LPSを用いた肺障害モデルでは形態的にもBALF細胞数もWtとTgで差はなく、血清KL-6値、BALF中KL-6値は72時間にピークを認めそれぞれ約1.8倍、約1.6倍有意に(p=0.008, p<0.001)上昇した。ブレオマイシン(BLM)を用いた肺障害モデルではWtと同様にday 8に炎症性変化、day 22に線維化を示し、形態的にも、コラーゲン定量でも両群間に差はみられなかった。一方Tgの血清KL-6値は炎症期に上昇(約10倍, p<0.001)したが、BALFは減少(0.77倍, p=0.009)した。線維化期には血清KL-6値は炎症期より減少したもののday 1よりは高値であった(p=0.006)。線維化期のBALF中KL-6値はday 1の約1.8倍(p=0.006)増加した。BALF中のアルブミン値はBALF中のKL-6と反対の変化を示し血清KL-6とBALF中のアルブミン値の間には正の相関がみられた(r=0.767, p<0.001)。BALF中のKL-6とSP-Dの動態には乖離がみられた。肺組織のWestern blot解析では線維化期のKL-6の増加傾向ならびにMUC1の有意な増加(p<0.01)を認めた。ヒトMUC1-Tgマウスは肺障害やKL-6の機序を研究するのに有用なモデルになることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
引き続きヒトMUC1-Tgマウスを用いて関節炎(膠原病)モデルマウス、シリカによる肺障害マウス、肺気腫モデルマウスを作成しているが、肺障害マウスモデルが出来るまでに数ヶ月かかり、実験条件の最適化や再現性の確認に時間を要している。また、当研究に割り当てられたマウス飼育スペースが限られており、自家繁殖させていることもあって実験可能な週齢マウスの数を揃えるのに時間を要している。また、マウス由来線維芽細胞にKL-6を添加する走化性実験では繰り返し実施しているが有為な差が得られずマウス線維芽細胞に対してはKL-6は走化性を持っていないのではないかと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
複数の肺障害モデルの作製を同時平行して行い時間の短縮化を行い解析を実施する。自家繁殖方法も工夫しできるだけ時間を節約する。研究室内の研究協力者にも解析を依頼し効率的に研究を進める。肺障害モデル作製の要領がわかってきたため本年度はもう少し進むと思われる。
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Research Products
(2 results)