2014 Fiscal Year Research-status Report
炎症性肺疾患におけるマイクロパーティクルの役割と治療戦略としての意義
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25461193
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
長友 安弘 宮崎大学, 医学部, 講師 (20268600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡山 昭彦 宮崎大学, 医学部, 教授 (70204047)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 間質性肺炎 / マイクロパーティクル / 情報伝達物質 / サルコイドーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではマイクロパーティクル(MP)の間質性肺炎(IP)の病態形成への関与を明らかにし、さらには臨床応用・治療へと展開するための基礎的知見を得ることを目的としている。平成26年度の研究において、集積した臨床検体のBALFを用いて、MP解析をホスファチジルセリンに結合するannexin V(AV)を用いたフローサイトメトリー法で行った。各疾患のMP中央値(粒子数/μl)は感染性肺炎486.1(n=7)、サルコイドーシス429.1(n=6)、膠原病肺409.6(n=13)、その他の間質性肺炎209.6(n=6)の順に増加していた。この結果を踏まえ、in vitroのモデル実験として、ヒト肺胞基底上皮腺癌細胞株A549細胞を用いて、肺胞上皮細胞のアポトーシスや活性化について検討した。A549細胞はMitomycin C(MMC)処理でアポトーシスを起こす細胞の割合が増加した。一方、Lipopolysaccharide(LPS)刺激やPhorbol 12-myristate 13-acetate(PMA)/Ionomycin刺激でアポトーシスを起こす細胞の割合が減少し、IL-6 mRNA発現量が増加していたため、細胞の活性化が誘導されていた。各刺激に対するA549細胞から産生されるMP数は、MMC処理とPMA/Ionomycin刺激によって、培養上清中に増加を認めた。これらの結果からは、肺胞上皮細胞のアポトーシスや活性化によって、MPが産生されるとともに細胞外に放出されていることが明らかとなった。臨床的にはⅡ型肺胞上皮細胞の増生を起こす間質性肺炎においてMP数が増加しており、in vitroの結果を支持している。今後はステロイドや免疫抑制剤、生物学的製剤などの影響によるMPの推移も臨床的に検討し、疾患マーカー、治療標的としての意義を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炎症性肺疾患の病態は、炎症性サイトカイン、肺胞上皮細胞のアポトーシスや活性化、これに伴って産生されるMPなどによって形成されていることが新たな知見として得られた。また、MPが炎症性肺疾患の新規マーカーとなりうる可能性が考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
BALF中のMPsが炎症性肺疾患の病態を反映するバイオマーカーである可能性について新知見が得られた。活性化した肺胞上皮細胞はMPを産生し、このMPが炎症性メディエーターとして炎症性肺疾患の病態を悪化する可能性が考えられた。今後はin vitroにおいて肺胞上皮細胞がMPを産生するメカニズムを解明し、炎症性肺疾患における肺胞上皮細胞の活性化とMP産生を制御するための治療標的について詳細な検討を行いたい。
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