2013 Fiscal Year Research-status Report
モノアミンメチル化酵素を標的とした新たな慢性腎臓病進展因子の解明
Project/Area Number |
25461218
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
宇津 貴 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (20422884)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 慢性腎臓病 / 肥満 / 加齢 / モノアミンメチル化酵素 |
Research Abstract |
(1)Indolethylamine N-methyltransferase (Inmt)の尿細管細胞における機能解析:培養近位尿細管細胞にてInmtの発現をSiRNAにて発現を抑制した場合およびアデノウイルスを用いて過剰発現させた場合のパルミチン酸刺激に対するアポトーシスを検討した。その 結果、アポトーシスはSiRNAで亢進、過剰発現で抑制され、Inmtは尿細管細胞保護的に働いていることが明らかになった。 (2)Inmt欠損マウスの作製と生体内Inmt作用の確認:Inmtはモノアミンに対するメチル化酵素であり、トリプトファン代謝に関連している。トリプトファン代謝物であるセロトニンは、メチル化されることによって、尿中排泄が変化すると考え尿中セロトニン排泄量を測定したところ、Inmtを全身で欠損させたマウスでは、コントロールマウスに比し排泄量低下が見られた。また、加齢や高脂肪食など、腎内のInmtが減少する病態において、尿中セロトニン排泄量は増加していた。 (3)近位尿細管特異的Inmt欠損マウスの作製:タモキシフェン誘導型近位尿細管特異的Cre発現マウスと、Inmt-floxマウスとの交配による近位尿細管特異的Inmt欠損マウスの作成に成功した。現在、実験に供するだけの個体数がようやく得られたところであるため、機能解析による分析は現在進行しているところである。 (4)糖尿病性腎症におけるInmt遺伝子多型の検索:遺伝子改変マウスによってInmtの腎に対する影響が明らかになった時点で、糖尿病患者のコホートを用いたヒトInmt遺伝子内のSingle Nucleotide Polymorphism (SNP)解析を行う予定となっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本実験の主目的は、われわれが新規腎疾患関連遺伝子の候補として考えいるInmtの腎臓での発現変化が慢性的に進行する腎障害に対する影響を及ぼすか否かを確認することである。培養細胞を用いた基礎的実験の結果は、Inmtが腎保護的に働く可能性を示唆しており、われわれの仮説が間違っていないことが確認できた。次のステップとして必要な遺伝子改変マウスの作成は終えており、実験を進めているところである。 なお、Inmt特異抗体を作製しあらたな腎障害マーカーの可能性を検討することも本研究の目的であり、抗体作成を試みているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
Inmtの尿細管特異的欠損マウスの解析を中止に進める。 新規尿細管障害指標としての可能性検討に関しては、Inmt特異抗体の作製が重要課題である。抗体作成が困難であれば、Inmtの尿細管特異的欠損マウスえを用いた、尿中モノアミンやメタボロームを、腎障害の程度や既存のバイオマーカーとの対比を行うことによって検討する。
|