2013 Fiscal Year Research-status Report
CCN2の機能制御による腎不全進行阻止を目指した抗腎線維化療法の開発
Project/Area Number |
25461228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
岡田 浩一 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60233342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 勉 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (30406475)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | CCN2 / 腎線維化 / 遺伝子改変動物 / ノックインマウス |
Research Abstract |
我が国では、毎年3万人の慢性腎臓病(Chronic kidney disease:CKD)患者が末期腎不全に至って透析導入されており、CKDの進行抑制法の開発は急務である。腎線維化は原因疾患を問わず、CKDが末期腎不全への過程でたどる最終共通路であり、理想的な治療標的と考えられる。我々は10年以上に渡ってTGF-b1の線維化促進作用を中継するmatricellular蛋白であるCCN2が、腎線維化に重要な役割を担っていることを明らかにしてきた。CCN2は4つのモジュールから構成されており、我々は第4モジュールを欠損した変異型CCN2発現マウス(CCN2Ex5unfx/unfxマウス)を作成したところ、予備実験において有意な腎線維化抑制効果を確認した。そこで平成25年度は閉塞性腎症(UUO)モデルを作成して検討を進めたところ、変異型マウスにおいて著明な腎線維化抑制効果が確認された。またin vitroの予備検討において、このマウス由来の胎児線維芽細胞はECMとの接着異常を介して、アポトーシス誘導などの変異形質を示し、CCN2第4モジュールはECMからのシグナルを線維芽細胞に伝達してアポトーシスを抑制し、臓器線維化を促進する可能性が示唆された。そこで平成25年度は変異型CCN2を発現し、かつ線維芽細胞特異的にアポトーシスが抑制されるマウス(FSP1.Cre;FxSTOP.p35;CCN2Ex5unfx/unfx)を作出し、UUOモデルにおいて検討を行ったところ、腎線維化の抑制効果が同等に認められた。よって変異型CCN2による腎線維化抑制効果は線維芽細胞におけるアポトーシス促進を介したメカニズムでは無い可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のひとつの目的である変異型CCN2の腎線維化抑制効果の検証については、十分な数の検討を繰り返したことで、少なくともUUOモデルにおいては有意な腎線維化抑制効果を示すことを明らかにできた。その機序の仮説として考えた腎線維芽細胞のアポトーシス誘導効果については、遺伝子改変動物を用いた検討では否定的であった。仮説は否定されたが、アポトーシス誘導というメカニズムの関与を否定することができ、さらなる機序の解明を行う契機となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度はCCN2Ex5unfx/unfxマウスのUUOモデルにおける腎線維化抑制効果の新たなメカニズム解明のため、まずは細胞内情報伝達系の変化を明らかとすべくウエスタンブロット法にてFAKシグナル経路やWNTシグナル経路のリン酸化タンパクを中心に検討する。 またin vitroで有効性が確認された第4モジュールを標的にしたデコイペプチドのin vivoにおける有効性を、UUOモデルを対象に評価する。 さらに当科にて開発した進行性腎線維化モデル(5/6腎血管結紮モデル)における変異型CCN2の腎線維化抑制効果を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
CCN2Ex5unfx/unfxマウスのUUOモデルにおける腎線維化抑制効果機序として、線維芽細胞のアポトーシス促進効果を想定し、in vivoでの検討を繰り返したが、結果は否定であった。そのためアポトーシス関連の因子に対するウエスタンブロッティングおよび免疫染色用の抗体購入が不要になった。また想定された結果を発表予定であった米国腎臓学会には、本研究発表では参加できなかったため、旅費を使用しなかった。 平成26年度はCCN2Ex5unfx/unfxマウスのUUOモデルにおける腎線維化抑制効果の新たなメカニズム解明のため、まずは細胞内情報伝達系の変化を明らかとすべくウエスタンブロット法にてFAKシグナル経路やWNTシグナル経路のリン酸化タンパクを中心に検討する。そのために新規の抗体購入に次年度使用額を使用する。平成26年度は得られた成果発表のために米国腎臓学会に参加予定であり、旅費を使用する。
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