2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒトES・iPS細胞から腎尿細管細胞への分化誘導技術の確立および医薬応用
Project/Area Number |
25461231
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
本間 康一郎 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10383762)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヒトES細胞 / 腎臓構成細胞 |
Research Abstract |
腎尿細管細胞は、中胚葉由来の細胞であり、中間中胚葉、後腎間葉および上皮化の過程を経て出現する。そこで、ヒトES/iPS細胞を中胚葉系統に誘導するために、これまでの誘導で用いてきたGSK-3β 阻害剤を用いた。その後、中間中胚葉への誘導を促進する増殖因子、培養条件を検討し、各誘導段階での遺伝子発現を網羅的に解析するとともに、尿細管特異的なマーカーである、Kidney-specific protein(KSP)の発現量を検討した。分化誘導してきたKSP陽性細胞の分取にはフローサイトメトリーで使用出来る抗体が必須であるが、市販されているものは現在ない。 そこで申請者らの研究室で独自に作成した抗KSPモノクローナル抗体(特許出願済み)を用いた。KSP陽性細胞が尿細 管細胞としての特性を有するかを検討するために三次元培養を行い、尿細管管腔様の構造を構築するかを検討した。Wnt-4シグナルを恒常的に分泌するNIH3T3-Wnt4細胞をマイトマイシン処理し、その上にマトリゲルを敷き、三次元培養条件を作成した。誘導したヒトES細胞を、マトリゲル上に撒き24時間~48時間培養 した。ヒトES/iPS細胞を細胞塊にし、GSK-3β 阻害剤で3日間培養した。GSK-3β 阻害剤を用いることで、未分化マーカーであるOct3/4は速やかに低下し、中胚葉の初期のマーカーであるBrachuryが上昇することを確認した。また、中間中胚葉のマーカーである、Osr-1の上昇も認めた。その後、低血清培地および増殖因子を含んだ誘導培地で培養したところ、後腎間葉のマーカーであるWT-1が上昇し、やや遅れて尿細管細胞のマーカーであるKSPも上昇した。KSPのたんぱくレベルの発現は、ウェスタンブロット、細胞免疫染色、フローサイトメトリーで確認し、約5%程度のKSP陽性細胞の誘導を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は、未分化ヒトES/iPS細胞からKidney-specific protein(KSP)陽性細胞を分化誘導することであり、おおむね達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
KSP陽性細胞の純化、および誘導効率を上昇させる方法を検討する。また、時計遺伝子と細胞分化との相互関係についての検討も加える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
効果的な物品調達が行われたため。 ストックしたあった消耗品が使用できたため。 増殖因子など高価なのでそちらに使用させていただきたいと考えている。 また、培養細胞における時計遺伝子リズムアッセイの方法は確立されておらず、基礎検討の費用がかさむと考えられるのでそちらにも使用させていただきたいと考えている。
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