2013 Fiscal Year Research-status Report
選択的エストロゲン受容体刺激薬の蛋白尿による尿細管障害抑制機構の解明
Project/Area Number |
25461238
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
藤本 壮八 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00319948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏原 直樹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10233701)
佐藤 稔 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70449891)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エストロゲン / ミトコンドリア / 慢性腎臓病 / 酸化ストレス / 蛋白尿 / Raloxifene / 選択的エストロゲン受容体刺激薬 / アポトース |
Research Abstract |
【背景】蛋白尿は腎不全進行の独立した危険因子である。また慢性腎臓病の予後には性差が影響する。アルブミンは遊離脂肪酸(FFA)との結合形で近位尿細管で再吸収される。FFAはミトコンドリア(Mit)へ転送されるが、過剰に吸収されると、Mit障害を介してアポトーシスを誘導する。一方、エストロゲンはMit酸化ストレス軽減作用を有する。今回、「エストロゲン受容体刺激は蛋白負荷による尿細管障害を軽減する」との仮説を立て検証した。 【方法・結果】(1)培養尿細管細胞を用いてin vitroでアルブミン誘導アポトーシスおよびエストロゲン受容体刺激効果を検討した。ヒト近位尿細管細胞にアルブミン(Human serum albumin:HSA)あるいは、FFA除去HSA(F-HSA)を負荷した。HSA負荷により用量依存性にLDH 放出の増加、生細胞数(WST assay)低下、アポトースによる細胞死(Annexin V)の促進を認めた。同時にMit膜電位の低下、酸化ストレス増大を認めた。F-HSAではこれらの変化を認めなかった。選択的エストロゲン受容体刺激薬Raloxifeneの前投与によりHAS負荷によるMit障害、細胞障害は抑制された。また、Raloxifeneによるこの抑制効果はエストロゲン受容体拮抗薬ICI 182,780の投与により解除された。(2) ネフローゼ自然発症(ICGN)マウスの卵巣を摘除し、Raloxifene (1.5 mg/kg/day)を6週間投与した。Raloxifene投与群ではMit形態異常・酸化ストレスの改善、アポトーシスの抑制を認めた。さらにMitのレドックス制御機構であるチオレドキシン系の活性化を認め、尿細管間質障害の改善を認めた。 【結論】エストロゲン受容体刺激はMit障害の抑制を介して、蛋白負荷による尿細管障害を軽減することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部、動物の搬入が遅れて進展していない実験もあるが、他の実験は順調に行われている。
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Strategy for Future Research Activity |
プライマリヒト近位尿細管上皮細胞を用いたヒト血清アルブミン負荷による酸化ストレスのvitro研究も順調に終了している。今後は足りない実験や論文の際にレビューアーから指摘された実験を行いながら、過去の研究結果をまとめ論文にしていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウスの購入にて実験を予定していたが、申請書が間に合わず、次年度への持ち越しとなったため、一部のマウスで予定していた組織のCOX染色が終了していない。そのため予算を来年に繰り越さずを得なかった。 申請書は受理されておりマウスは納入予定である。納入されてから当初に実験計画を開始する予定である。
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