2014 Fiscal Year Research-status Report
PHAIIにおけるKLHL3/Cullin3の役割の検討
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25461243
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
太田 哲人 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 非常勤講師 (00510356)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | NaCl共輸送体(NCC) / インスリン / バゾプレシン / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
偽性アルドステロン血症II型(PHAII)は塩分感受性高血圧、高カリウム血症、代謝性アシドースを呈する遺伝性疾患である。平成25年度までに、KLHL3-Cullin3複合体によるWNKキナーゼの分解不全でNaCl共輸送体(NCC)が塩分再吸収を亢進させる事がPHAⅡの原因である事を明らかにした。WNKシグナルの生理的な調節因子は明らかになってきたものの、KLHL3-Cullin複合体によるWNKキナーゼ分解の生理的な制御についてはいまだ不明であった。 平成26年度においては質量分析を用いてKLHL3のリン酸化サイトを同定し、その部位に対するリン酸化抗体を作成し検討した。その結果、KLHL3のkelch-repeat内のS433がリン酸化サイトであると同定された。WNK4によって免疫沈降されたKLHL3はS433リン酸化が減少しており、S433リン酸化によってKLHL3はWNK4との結合が減少することがわかった。In vitro kinase assayではPKAとAktによるKLHL3 S433のリン酸化が確認され、さらに培養細胞ではforskolinとinsulinの刺激でKLHL3 S433リン酸化が各々亢進した。このことからPKAとAktによるKLHL3リン酸化がWNK4との結合を制御することが明らかになり、インスリンやバゾプレシンによるWNKシグナル制御の生理的メカニズムの1つであると考えられた。 また、生体内におけるKLHL3 の生理的な基質と、KLHL3の遺伝子変異によるPHAIIの発症メカニズムを解明するため、疾患起因性KLHL3遺伝子変異(R528/+)をノックインした遺伝子改変マウスを作成した。KLHL3(R528/+)ノックインマウスは塩分感受性高血圧、高カリウム血症、代謝性アシドースを呈し、PHAII疾患モデルマウスとして適していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度当初、研究計画として、新規WNKキナーゼ制御系であるKLHL3-Cullin3ユビキチンリガーゼの病態生理学的役割を明らかにするため、KLHL3/Cullin3複合体のin vitroでの解析をあげた。平成26年度においては研究実績の概要で記した通り、質量分析を用いてKLHL3のリン酸化サイトを同定し、WNKシグナル制御の生理的メカニズムの一つを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
WNKの分解障害が関わる病態を生体内で全身臓器にて明らかにするため、病態モデルの作成と解析に取り組む。PHAII疾患起因性変異を持つKLHL3およびCullin3ノックインマウスの作成、解析を行う。
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