2013 Fiscal Year Research-status Report
高血圧感受性遺伝子ATP2B1の血圧および臓器障害に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
25461249
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
平和 伸仁 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 准教授 (20315766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 敏 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00128589)
谷津 圭介 横浜市立大学, 医学部, 助教 (10457856)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ATP2B1 / PMCA1 / 高血圧 / 一酸化窒素 / eNOS / 細胞内カルシウム |
Research Abstract |
1) 血管平滑筋特異的ATP2B1ホモKOマウス 細胞内カルシウム濃度に影響を与える本遺伝子変異が、さまざまな降圧薬に対して、反応性が異なるのかどうかについて基礎的な検討をすすめた。また、本年度は、よりcontrolマウスとKOマウスの遺伝的形質を同一に近くするための交配を進めている。 2) 全身ATP2B1ヘテロKOマウス ATP2B1のsystemic KOマウスは、胎生致死となる事が知られており、ヘテロKOマウスの解析をすすめている。本KOマウスの全身臓器におけるATP2B1のmRNA発現量は、コントロールの3割ほどであったが、生育には影響を与えなかった。テレメトリー法による血圧測定で有意に血圧上昇を認め、平滑筋細胞内Ca濃度が上昇していた。また、血管の収縮性が亢進していたが、L-NAME処理下での収縮反応は、ヘテロKOマウスとコントロールマウスでは差を認めなくなった。血管内皮細胞のeNOS活性に重要部位のリン酸化がヘテロKOマウスで低下していた。この事実は、人においても本遺伝子のSNP変異によりNO系に影響がでる可能性を示唆しており、今後の研究に有用なデータと考えられる。 3) 内皮特異的ATP2B1ヘテロKOマウス ホモノックアウトマウスの作製を試みたが、ホモノックアウトマウスは出生しなかった。そこで、内皮特異的なヘテロKOマウスを作成している。今後、血圧などに特徴的な変化があれば、研究を進めて行く予定である。 4) 尿細管特異的ATP2B1ホモKOマウス 本マウスは、ホモKOマウスにおいても出生を認め、繁殖可能である。本マウスでは、血圧に有意な変化を認めなかった。よって、ATP2B1は遠位尿細管においては、血圧調節と言う点では代償可能な程度の変化しか示していない可能性がある。しかし、水、電解質代謝に与える影響は強く、現在、その詳細を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今回、我々は、研究初年度に、ATP2B1の全身ヘテロKOマウスの血圧変動およびそのメカニズムを明らかにすることができた。ATP2B1は、ヒトゲノムプロジェクトの延長として発見された重要な遺伝子である。我々は、血管平滑筋特異的KOマウスで、ATP2B1と細胞内カルシウム濃度、高血圧の関連性を世界で初めて証明することができたが、今回は、それを一歩進めて、ヒトの病態に近い、全身におけるATP2B1の発現量の低下が、血圧を有意に上昇させる事を明らかにすることができた。本病態では、血管内Ca濃度のみならず、細胞収縮に関連するNOの産生調節など新しいメカニズムの関与が重要である事も明らかになった。 今回、Journal of Hypertension にacceptされたが、年度内にここまでデータがまとめることができた事は、予定を上回る研究の進展であった。次年度も引き続き積極的に研究をすすめたい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、血管平滑筋特異的KOマウスを用いて、降圧薬に対する効果をより正確に、また、短期および長期の治療効果を検討して行きたい。降圧薬の種類により降圧効果に違いがあるかどうかを明らかにすることにより、テーラーメイド医療への新しい提言が出来る可能性がある。 尿細管のATP2B1のKOマウスでは、血圧に有意な変化を認めなかった。しかし、食塩負荷をすると血圧の日内変動に変化を来す事が示された。また、特徴的な尿の反応も見られており、次年度は、特にこの点に注力して解析を進めて行きたい。 ヒトにおいてATP2B1のSNPは、臍帯動脈においてmRNA発現低下と関連することを報告して来た。今回の研究でも、遺伝子改変動物を用いることによりATP2B1の発現低下と高血圧の関連性が示されている。一方、その発現を高めた場合の変化については不明である。今後、これらの点に関しても新たに研究計画を追加して行く予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Impaired NO Production and Increased Blood Pressure in Systemic Heterozygous ATP2B1 Null Mice2014
Author(s)
Akira Fujiwara, Nobuhito Hirawa, Megumi Fujita, Yusuke Kobayashi, Yuki Okuyama, Keisuke Yatsu, Mari Katsumata, Yuichiro Yamamoto, Naoaki Ichihara, Sanae Saka, Yoshiyuki Toya, Gen Yasuda, Yoshio Goshima, Yasuharu Tabara, Tetsuro Miki, Hirotsugu Ueshima, Yoshihiro Ishikawa and Satoshi Umemura
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Journal Title
Journal of Hypertension
Volume: e-pub
Pages: e-pub
Peer Reviewed
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