2015 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧発症ApoE欠損マウスへのスタチン投与による腎保護のメカニズムの検討
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25461261
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
星賀 正明 大阪医科大学, 医学部, 教授 (90309154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石坂 信和 大阪医科大学, 医学部, 教授 (20270879)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / 高脂血症 / 高血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
アポE欠損マウスにアンジオテンシンを慢性投与する高血圧+高脂血症合併モデル動物において、腎臓病変の解析を行った。腎糸球体の膨化および組織学的な線維化指標は、正常マウス<高脂血症マウス< 高脂血症マウス<高脂血症+高血圧マウスの順に、顕著になった。次に、尿中蛋白量を代謝ケージによる1日蓄尿で測定したところ、高血圧マウス(および高脂血症+高血圧マウス)において顕著な蛋白尿の出現を認めた。このように高血圧+高脂血症モデルマウスは、糸球体の膨化および硬化をともない、蛋白尿の出現を認め、最も高度の腎障害を認めた。この実験系に、スタチン製剤(アトルバスタイン)を投与したところ、蛋白尿の軽減の傾向を認めた。一方、降圧薬による変化を調べたところ、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)投与では、腎糸球体病変の軽減とともに、蛋白尿の著明な低下を認めたのに対し、同程度の降圧をもたらしたヒドララジン投与では、これらの改善は認めなかった。高血圧+高脂血症合併時において、アンジオテンシンは血圧とは異なるメカニズムで腎臓(特に糸球体)病変形成に関与していることが示唆された。現在、細胞マーカーや酸化マーカーを用いて、免疫組織学的に詳細な検討を行い、その分子メカニズムの解明に近づいている。高脂血症+高血圧の病態は、臨床上心血管病のハイリスク群としてしられているが、腎臓病変における検討は少なかった。今回、モデル動物の確立を達成し、そのメカニズムにアンジオテンシン系の関与が示された。慢性腎臓病および心血管病の診療に貢献できるものと考える。
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