2014 Fiscal Year Research-status Report
FUS/TLSのメチル化による核-細胞質シャトリング制御と凝集体形成機序の解明
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25461267
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山口 淳 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00314336)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ALS / Arginine methylation |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究は、筋萎縮性側索硬化症 (ALS; Amyotrophic lateral sclerosis) の発症機序解明のため、家族性 ALS の原因遺伝子である FUS/TLS の機能解析を行うものであり、特に、(1) メチル化による FUS/TLS の核- 細胞質シャトリングの制御機構、(2)FUS/TLS による凝集体の形成機序と意義 の解明を行いALS の発症機序解明を目指すものである。 当該年度は、(1)「メチル化による FUS/TLS の核- 細胞質シャトリングの制御機構」に関しては、メチル化阻害剤 AdOxによるアルギニンメチル化阻害でFUS/TLSの細胞質の凝集体形成が形態学的に抑制されること、特にC端のRGG部位のアルギニンメチル化が重要であるという研究結果に加え、メチル化阻害剤の長期投与により、FUS/TLS の核内凝集体が形成されることを見出した(論文投稿中)。 (2)「FUS/TLS による凝集体の形成機序と意義の解明」に関しては、FUS/TLSの細胞質の凝集体が、他のRNA結合タンパク質を係留(sequestration)し、核内のmRNAのSplicingに関わるSpecklesや細胞質のRNA品質管理に関わるProcessing bodies (PBs)の形成異常を来すことを報告した(Biochem Biophys Res Commun. 452(3):600-7)。これまで、家族性ALSの原因遺伝子としてFUS/TLS以外にもTDP43、hnRNP A1/A2などのRNA結合タンパク質の遺伝子が報告され、これらは細胞質内に凝集体形成することから、以上の結果は家族性ALSに共通した発症メカニズムの一つの可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、(1)「メチル化による FUS/TLS の核- 細胞質シャトリングの制御機構」に関しては、①FUS/TLSの核-細胞質シャトリングの制御機構にC端付近のRGG部位のアルギニンメチル化が関与すること、②メチル化阻害剤によりFUS/TLSのC端NLS(核移行シグナル)変異体の細胞質での凝集体形成が抑制されること、③メチル化阻害剤はFUS/TLSの核内凝集体を形成を惹起する結果を得た(論文投稿中)。 また、(2)「FUS/TLS による凝集体の形成機序と意義の解明」に関しては、FUS/TLSの細胞質凝集体による"Toxic gain of functions"のメカニズムの解析を進め、①FUS/TLSの細胞質凝集体が他のRNA結合タンパク質を係留(sequestration)すること、②FUS/TLSの細胞質凝集体がmRNAのスプライシングに関与する核内splicing specklesや細胞質のRNA品質管理に関与するPGs(processing bodies)のの形成阻害を惹起する結果を得た(論文発表済み)。また、マウス運動神経細胞由来のNSC34細胞によるテトラサイクリン誘導性FUS/TLS発現株を樹立した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、(1)「メチル化による FUS/TLS の核-細胞質シャトリングの制御機構」に関しては、メチル化阻害剤によるFUS/TLSの核内凝集体の意義を解析したい。2014年に家族性ALS患者の線維芽細胞のFUS/TLSの核内凝集体を認めるという報告(Mol Biol Cell. 25(17):2571-8)があり、FUS/TLSの核内凝集体が発症メカニズムの一因の可能性が示唆される。特に、FUS/TLSのRibosomal biogenesisに及ぼす影響を中心に解析する。 (2)「FUS/TLS による凝集体の形成機序と意義の解明」に関しては、FUS/TLS凝集体によるRNA顆粒の形成障害が、細胞機能にどういう意義を持つかを解析する予定である。これまでに確立したマウス運動神経細胞由来のNSC34細胞によるテトラサイクリン誘導性FUS/TLS発現株を利用し、FUS/TLSの細胞質凝集体が、神経特異的遺伝子のmRNAのスプライシングやRNA品質管理に及ぼす影響を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度に予定した物品購入後に、当該助成金が残高として残ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に物品費として使用予定。
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Research Products
(3 results)