2013 Fiscal Year Research-status Report
エクソームを基盤とした統合的ゲノム解析による片頭痛の分子病態解明
Project/Area Number |
25461270
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
高橋 祐二 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 病院, 医長 (00372392)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 片麻痺性片頭痛 / 変異解析 / エクソーム |
Research Abstract |
H25年度は、検体の収集、既知遺伝子変異のスクリーニングなど、エクソーム解析を行うための基盤作りに集中した。まず、家族性片麻痺性片頭痛の家系収集を推進し、新たに5家系の追加家系を得た。それらに対して、DNAマイクロアレイを用いた病因遺伝子解析を施行し、一例においてCACNA1A p.Thr666Metの既知の変異を認めた。4例は変異未同定の家系であり、エクソーム解析の候補であると考えられた。一方、2011年に発作性運動原性ジストニア(paroxysmal kinesigenic dystonia: PKD)の病因遺伝子としてPRRT2が同定されたが、その後2012年に同遺伝子の変異により片麻痺性片頭痛も呈しうることが報告された。従って、本研究においても家族性及び孤発性片麻痺型片頭痛において直接塩基配列解析法によるPRRT2全エクソンの変異解析を追加した。その結果、孤発性片麻痺性片頭痛の一例において、c.649dupCの既知のヘテロ接合性挿入変異を認めた。この変異は、アジア人集団に多いことが報告されており、PKDや片麻痺性片頭痛など多彩な臨床像を呈することが報告されている。本解析結果は、孤発例においても変異が認められるという点において、重要な所見であると考えられた。これらの研究成果については、American Society of Human Genetics 63rd Annual Meetingにおいてポスター発表を行った。 一方で、エクソーム解析については、本年度は解析ファシリティにおいて多施設からの解析依頼が集中しており、十分な解析を行うだけのスループットを確保できなかった。従って、H26年度に集中的に解析を行う予定で、現在準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度において、さらなる片麻痺性片頭痛の家系収集に成功したこと、また新規に同定された病因遺伝子に関してスクリーニングを行い、変異同定を行ったことは、当初の予定を上回る成果であったと考えられる。一方で、エクソーム解析の進展については、やや遅れている印象もある。この点については、新規家系も含めて、H26年度に集中的に解析を行うことで、当初の目標を達成したい。
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Strategy for Future Research Activity |
収集した家系についてのエクソームデータを取得することが第一に必要である。解析ファシリティにおける解析スループットの向上と、In-house variant databaseのさらなる充実により、H26年度に計画課題の達成は十分可能なものと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初はH25年度にエクソーム解析を開始する予定であったが、追加家系の存在、解析施設のスループットなどの理由から、H26年度に集中的にエクソーム解析を行うこととなったため、H25年度の物品費の一部を繰り越してH26年度に使用することとした。 H25,26年度の使用額を合わせて、エクソーム解析を集中的に行う。H26年度中に当初の目的としていたエクソーム解析を終了する予定である。
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Research Products
(1 results)