2013 Fiscal Year Research-status Report
人工制限酵素による内在性TDP-43遺伝子改変と筋萎縮性側索硬化症モデルへの応用
Project/Area Number |
25461271
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 俊哉 新潟大学, 脳研究所, 助教 (90359703)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳神経疾患 / ALS / TDP-43 / 疾患モデル / 発生・分化 |
Research Abstract |
人工制限酵素技術の先駆けとなったZinc-Finger Nuclease(ZFN)を用い、内在性TDP-43 C末領域の部分欠損マウス8系統を樹立した。この8系統を、塩基配列から推定される蛋白構造により分類すると、150アミノ酸残基からなるTDP-43 C末領域の(A)6アミノ酸までの欠損、(B)前半部分欠損、(C)後半部分欠損の3種に大別され、グループ毎に異なる特性が認められた。6アミノ酸までの欠損(A系統)では、ホモマウスにおいても明らかな異常を指摘できなかったが、TDP-43 C末領域の約半分程度を欠損(B・C系統)させると、ホモマウスが主に着床前後に致死となり、TDP-43機能が失われた。次にヘテロマウスの脳を用いて蛋白レベルで検討すると、前半部分欠損(B系統)では、36 kDaの変異蛋白が確認されたが、核から細胞質に局在が変化し、核蛋白質としてのTDP-43機能が失われることが明らかとなった。一方、後半部分欠損(C系統)では僅かなバンドが確認されるのみであり、変異蛋白が何らかの品質管理を受けている可能性が高いと考えられた。これらの結果から、TDP-43 C末領域の前半部分は機能維持に重要であり、後半部分は蛋白の安定性維持に重要な領域であることが明らかとなった。なお、以上の8系統は、全て凍結受精卵として保存が完了し、バイオリソースとしての提供準備も整えた。 次にTDP-43 C末領域の全欠損マウスを樹立するため、ZFNの制限を克服したTAL Effector Nucleases(TALEN)を用い、合計7回のマイクロインジェクションをおこなった。これにより140匹の産仔が生まれたが、遺伝子改変動物は得られなかった。TALENに関しては、活性のばらつきが大きいことが報告されるようになり、戦略の変更を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TDP-43 C末領域の部分欠損マウス8系統を樹立し、その基本的特性を確認することにより、本領域の機能マッピングをおこなった。得られた結果は、既に培養細胞レベルで報告されている結果とは異なり、新規性が高いと考えられた。 TALENに関しては、充分な成果が得られなかったが、全く新しい技術であるCRISPR/Casシステム導入の契機となった(後述)。
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Strategy for Future Research Activity |
各系統の基本的特性の比較をおこない、充分に新規性の高い結果が得られたことから、論文の投稿準備を進め、バイオリソースとしての提供を早めることとした。 我々のアドバンテージを生かし、本研究を発展させるためには、さらに多くの標的遺伝子改変マウスを作成し、TDP-43 C末領域の詳細な機能マッピングをおこなうことが重要である。2013年になり、高活性型のTALEN(Platinum TALEN)あるいはCRISPR/Casシステムが報告され、標的遺伝子改変マウス作成のハードルが一気に下がることとなった。我々もCRISPR/Casシステムの導入を進めており、効率的なマウス作成を介して、筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルへの糸口を見いだしたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
TALENのマイクロインジェクションをおこなったが、遺伝子改変動物が得られず、戦略の変更が必要となった。また動物実験施設の改修工事も重なったため、予想通りに研究を進めるのが難しく、生体試料の採材を中心に研究を進めたため、研究費の使用が少なくなった。 TALENの次に開発された、第三世代の遺伝子改変技術であるCRISPR/Casシステムの導入を進める。CRISPR/Casシステムでは、細胞質インジェクションが主流となるため、インジェクション装置(フェムトジェット、927千円)の導入を検討し、節約した予算を有効に利用したいと考えている。それ以外では、遺伝子改変マウスの作成および維持管理に必須な費用(体外受精、胚培養、マウス飼育費)として計700千円。遺伝子改変マウスの同定に必要な費用(DNA抽出、PCR関連、ミスマッチ変異を同定するCEL-1解析、ダイレクトシークエンス)として計300千円。日本神経学会学術大会、日本分子生物学会年会への参加費として150千円。論文投稿に必要な費用として200千円。残額は、病理および生化学的解析に必要な予算に充当する。
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Research Products
(5 results)