2015 Fiscal Year Annual Research Report
重合体毒性仮説に基づくポリグルタミン病の病態解明と新規治療薬開発
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25461272
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
他田 正義 新潟大学, 脳研究所, 助教 (10467079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 理 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20303167)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脊髄小脳変性症 / 臨床評価法 / 治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄小脳変性症の新規治療薬の臨床試験を成功させるためには,鋭敏で信頼性の高い小脳性運動失調の定量評価法の開発が欠かせない. 申請者は,iPadを用いた検査システムを開発し,小脳性運動失調の臨床重症度SARA と視標追跡課題における速度の変動係数が高い正の相関を示すことを明らかにしてきた.本年度は,運動課題条件の検討から,非連続な,ゆっくりとした視標追跡課題が小脳性運動失調の検出に適していることを示した.さらに,速度の変動係数は課題遂行の後半に低下し,運動学習の効果を反映している可能性が示唆された.学習効率は健常群に比して疾患群で低値であった.iPataxは小脳性運動失調の定量評価法として有用であることに加え,小脳機能として重要な運動学習を評価できる可能性が示唆された. また,小脳性歩行障害を定量評価する方法を開発するために,Kinect (Microsoft社) を用いて,操作が簡便で機動性の高い3次元動作解析システムを構築した.被験者は合図により椅子から起立し,1分間足踏みを行い,Uターンをして椅子に着席する運動課題を行った.対象は健常者15例 (平均年齢30.5歳,SARA合計・歩行 0点),脊髄小脳変性症患者16例 (平均年齢55.5歳,SARA合計8.9点,SARA歩行2.5点) で,SSARAおよび重心動揺検査を実施した.課題動作中に最も安定して情報が得られた頸点の横軸成分に着目して解析した.頸点横軸座標の周波数解析により,患者群では,大きな左右の横揺れを反映して遅い周波数成分が増加し,歩行率を反映する中間の周波数成分のばらつきも増加した.さらに,患者では頸点横軸座標の振幅および歩行周期の変動係数が増加した.この変動係数の増加はSARA合計・歩行と高い正の相関を示した.歩行周期と振幅の変動係数は小脳性歩行の重症度評価に有用であると考えられた.
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