2014 Fiscal Year Research-status Report
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25461273
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岩佐 和夫 金沢大学, 医学系, 准教授 (10345613)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 重症筋無力症 / 抗アセチルコリン受容体抗体 / 骨格筋 / 神経筋接合部 / 小胞体ストレス応答 / カベオリン3蛋白 / 骨格筋修復再生機能 / 骨格筋免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症筋無力症(MG)の骨格筋細胞内反応およびこの反応が関与する免疫機能の解析を行い、MGの病態に筋細胞内反応が深く関わっていることを解明していく。 筋細胞内反応を解明する研究では骨格筋へのダメージに関する作用や筋および神経筋接合部の再生に関する作用、また、骨格筋が免疫機能を調整する作用についてMG患者の骨格筋検体を用いた病理学的検討、蛋白および遺伝子発現による検討で明らかにする。 この研究は、金沢大学医学部倫理審査委員会の承認をえて、2015年3月末時点で15例のMG患者より同意を得て研究を行っている。コントロールとして、筋疾患以外の5症例の検体を使用した。 MGにおける神経筋接合部の自己免疫反応により、ダメージを受けた骨格筋に生じる反応を確認するため小胞体ストレス応答に注目、熱ショック蛋白の一つである glucose-regulated protein(GRP)78の発現を免疫組織染色およびmRNAの発現量を半定量化することで確認し、MG患者の骨格筋ではGRP78の発現亢進が認められることが免疫組織染色およびmRNAの定量から確認された。蛋白の発現量とmRNAにおける発現亢進は相関を示しており、MGの骨格筋における免疫反応が骨格筋細胞内に影響を及ぼし、小胞体ストレス応答を誘導したと推定された。 本研究の結果は、2014年7月5-10日にNice (France)で開催された第13回神経筋疾患国際会議にて発表し、J Neuroimmunol 273:72-76,2014に掲載された。 また、MG骨格筋では、骨格筋細胞膜蛋白の発現や機能に関わるcaveolin-3蛋白の発現が亢進していることを新たに見いだし、自己免疫反応による骨格筋細胞の修復再生過程における機能の一部が明らかにされた。この結果の一部は、2014年9月4-6日に開催された第26回日本神経免疫学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における神経筋接合部の自己免疫反応が、骨格筋に与える影響について、小胞体ストレス応答が関与していることを明らかにし、国際学会および論文での報告を行った。その後の研究で、MGの骨格筋では細胞膜蛋白の発現や機能、骨格筋の修復再生に関与するcavelin-3蛋白の発現が亢進していることを明らかにした。この蛋白の発現亢進に関連し、MG患者の骨格筋細胞における障害と修復再生過程に関わる新たなデータが得られおり、研究は順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
MGの骨格筋細胞において小胞体ストレス応答を認めることが明らかになった。この反応におけるトリガーが、MGの骨格筋細胞内におけるCaイオン動態の異常、ミトコンドリアの形態や集簇異常、骨格筋細胞の修復再生に関連していることについて研究を進める。 (1)骨格筋内反応の解明 1. 細胞内Caイオンの動態を評価する。2. 筋細胞内のミトコンドリアの異常:ミトコンドリア形態や機能をみる蛋白(LC3、FoxO3等)を特異的に染色し、ミトコンドリア異常の質を評価する。3. 骨格筋再生の確認:アポトーシスに関わるTUNEL染色やカスパーゼ3、9の状況を免疫染色にて評価する。筋再生に関連し出現する蛋白(Pax7、MyoD、myogenin)の発現を調べる。 (2)骨格筋が担う免疫機能 1. 抗原提示機能:MGの骨格筋においてMHCクラスIIの発現、抗原提示共刺激分子であるCD40、CD80、CD86の発現、IL-12やTNFαといったサイトカインの発現について、免疫染色やウェスタンブロット、mRNA定量にて調べる。2. 補体制御因子の発現:補体介在性の障害を調整する補体制御因子であるDAF,MCP,CD59の発現を免疫染色、mRNAの発現量定量にて調べる。
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Research Products
(4 results)