2013 Fiscal Year Research-status Report
プロテアソーム分解系によるチロシン水酸化酵素の安定性制御機構の解明と神経細胞死
Project/Area Number |
25461296
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
中島 昭 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (20180276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 明 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (10247637)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | チロシン水酸化酵素 / プロテアソーム分解 / 14-3-3プロテイン |
Research Abstract |
プロテアソーム分解系の異常が神経変性疾患の原因であることが報告され、神経細胞死におけるプロテアソーム分解系の関与が予想されている。一方、パーキンソン病における神経細胞死には過剰に合成されたドーパやドーパミンの酸化物質であるドーパキノン・ドーパミンキノンが関与している可能性が報告されている。すなわち、チロシン水酸化酵素(TH)の制御メカニズムの異常がドーパミン合成量に影響を与えることにより、神経細胞障害が誘発される可能性が推察される。 我々は一連の研究で、THのリン酸化制御タンパク質である14-3-3プロテインがTHの細胞内安定性(分解性)を低下させる可能性があること、および、THはプロテアソーム分解系で分解制御されていることを発見した。加えて、THのプロテアソーム分解系による分解制御には、THのリン酸化がトリガーとなる可能性を発見した。一方、リン酸化からプロテアソーム分解に至る過程での14-3-3プロテインの役割に関しては未だ不明である。 平成24年度は培養細胞を用いた実験系において、THのリン酸化誘導、プロテアソーム分解系の活性化と不活性化を組み合わせて解析を進めた。プロテアソーム分解系を抑制するとリン酸化されたTHが増加するだけでなく、これとは逆に、プロテアソーム分解系を活性化するとリン酸化されたTHが著名に低下することを発見した。すなわち、これらの結果は、リン酸化によりTHのプロテアソーム分解が開始されることを強く示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
チロシン水酸化酵素(TH)のリン酸化、特にSer19のリン酸化を介するTHのプロテアソーム分解制御における14-3-3プロテインの役割に関して解明を行ってきたが、当初の予想に反して14-3-3プロテインの役割の解析に時間を要した。14-3-3プロテインの活性抑制実験に使用した試薬もしくは実験系に問題があるのか、14-3-3プロテインがTHのプロテアソーム分解においてもともと役割を持たないのかの判断が困難であった。このため、これを解析するために多くの時間を費やす結果となった。その結果、当初予定していた培養細胞中で、14-3-3プロテインをダウンレギュレーションもしくは過剰発現する実験の開始が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
14-3-3プロテイン活性の抑制効果を検証する方法を早期に確立させる。また、14-3-3プロテインはリン酸化されたTHに結合するため、14-3-3プロテインに対するインヒビターではなく、THのリン酸化部位付近の配列から予想されるリン酸化ペプチドを合成して、インヒビターとして用いる方法も検討する。加えて、14-3-3プロテインのダウンレギュレーション、もしくは過剰発現に関する実験を行う。今後は、培養細胞内で14-3-3プロテインの発現量を制御した上で、THのリン酸化誘導とプロテアソーム分解系の活性化もしくは不活性化を組み合わせて研究を推進する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の実験計画を遂行した結果、予想外の結果となった。この結果を検討して明確にするために、当初予定していなかった時間を必要とした。この結果、当該年度に予定していた一部の実験項目を先送りする結果となった。 予想外の結果に関してはこれを解決するための計画を立案済みである。この計画を実行しながらも実施が遅れている実験についても実行した上で、平成26年度に予定していた実験項目を遂行する予定であり、それに伴って予算を使用する計画である。
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