2013 Fiscal Year Research-status Report
神経疾患関連RNA結合タンパク質FUS/TLSの機能欠損の影響
Project/Area Number |
25461299
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
紀 嘉浩 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 客員研究員 (80415140)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | FUS/TLS / RNA結合タンパク質 / 神経変性疾患 |
Research Abstract |
FUS/TLSはRNA・DNA結合タンパク質であり、いくつかの神経変性疾患への関与が示唆されている。申請者の所属研究室では、FUS/TLSがポリグルタミン病の封入体に蓄積することを発見した。その後、FUS/TLSの遺伝子変異あるいは神経病理学異常が筋萎縮性側索硬化症(ALS)や前頭側頭葉変性症(FTLD)の一部で発見され、大きな注目を集めるに至った。FUS/TLSは転写、スプライシング、mRNA輸送など種々のRNAプロセシングのほか、DNA損傷への応答に関与するとされる。FUS/TLSと結合するRNAの網羅的解析には複数の例があるが、報告間の不一致点も見られ、このタンパク質による遺伝子制御の全体像の把握は今後の課題である。また、初代培養神経細胞でのFUS/TLSの欠損が樹状突起形態の異常をもたらすため、この遺伝子の神経機能への関与が示唆されているが、生体内における機能は不明である。そこで、本研究はFUS/TLSの生理的機能を明らかにすることを目的とし、FUS/TLSの機能欠損の影響を調べる。 本年度は、FUS/TLSの発現低下によって発現変動する遺伝子を検討した。哺乳動物培養細胞において、FUS/TLSのノックダウンによって発現量もしくは選択的スプライシングの変化を示す遺伝子をいくつか確認した。これらの変動については、その機構をレポーター遺伝子や結合実験を用いて調べることで、FUS/TLSによる遺伝子発現制御の理解に繋がると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
所属研究室の移転(4月)とそれに伴うセットアップ、およびその後の所属機関の変更(1月)により、実験実施可能な期間が短かったため。
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Strategy for Future Research Activity |
実験に用いる動物の準備が出来ているので、その詳細な解析を予定通り行う。また、所属の変更に伴い、生物情報学的な解析を推進し易い環境になったため、その方向性の比重を高める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
所属研究室の移転とその後の所属機関の変更により、実験実施期間が短くなり、これに伴い消耗品の支出も少なくなった。 次年度は、本年度中に行う予定であった実験の残りと、次年度に予定していた実験の双方を行い、前者の執行に次年度使用額を用い、後者には当該年度の請求額を予定通り使用する。
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Research Products
(3 results)