2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25461300
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
荒木 亘 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所疾病研究第6部, 室長 (60311429)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | アルツハイマー病 / 認知症 / βアミロイド / βセクレターゼ / BACE1 / 脳神経疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) アミロイドβペプチド(Aβ) により誘起されるβセクレターゼBACE1の発現亢進のメカニズムの解明 ラット初代培養大脳皮質神経細胞を、比較的低濃度のAβ42(オリゴマー、フィブリル)で、長時間(2~3日間)処理する系を用いた研究を継続した。 Aβオリゴマー処理細胞では、アミロイド前駆体タンパク(APP)のBACE1による切断が促進されることを、APP C末断片の詳細な解析により実証した。Aβオリゴマー処理により、BACE1のmRNAレベルは変化しないこと、アデノウイルスベクターで発現させた外因性BACE1のレベルも内因性BACE1と同様に増加したことから、AβオリゴマーはBACE1の翻訳後レベルの調節を介して、そのタンパク発現亢進を引き起こすことが判明した。次いで、免疫細胞化学によるBACE1の神経細胞内分布の解析を行い、興味深い知見が得られつつある。さらに、Aβオリゴマー処理による細胞応答は典型的な小胞体ストレス反応ではないことも示された。また、AβオリゴマーによるAβ産生悪循環の抑制効果を持つ物質の探索を、候補物質(抗酸化物質、Memantineなど)について実施したが、有効性の高いものを見出すには至っていない。 (2)Reticulon 3 (RTN3)によるBACE1抑制を介した防御的効果の実証 トランスジェニック(Tg)マウスモデルを用いた検討を優先して実施した。RTN3 Tgマウスと、APP Tgマウスとを飼育し、交配によりnon-Tg、APP Tg、RTN3 Tg、APP/RTN3 Tgマウスを作出(計約50匹)した。さらに多くの産仔を得るため、同様の交配実験を実施中である。記憶学習能力の評価のため、恐怖条件付け試験を予備的に実施したが、異常の評価が困難であったため、他の試験での評価を行うこととした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AβオリゴマーによるBACE1発現亢進の機序の解析が順調に進み、研究成果を論文化する準備段階に至っている。また、RTN3によるBACE1制御についてのin vivoの研究も、若干の問題点はあったが、ほぼ順調に進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究目的を達成するため、研究計画を予定通り推進していく。AβオリゴマーによるBACE1発現亢進のメカニズムに関する研究データを集約し、論文を準備、投稿する。さらに、生理的環境に近い条件(低濃度のAβ刺激)下におけるBACE1異常の検討、AβオリゴマーによるAβ産生悪循環の抑制効果を持つ物質の探索などを行う。 BACE1の制御因子としてのRTN3の役割について、新知見を得るため、Tgマウスを用いた研究を継続する。
|
Causes of Carryover |
2000円未満の少額の残額については、適当な物品が購入できないため、次年度に繰り越すこととした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品費に充当する予定である。
|
Research Products
(5 results)