2015 Fiscal Year Annual Research Report
てんかん難治化における睡眠構築の異常と自律神経障害の影響
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25461306
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神 一敬 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20436091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 真樹 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00420018)
中里 信和 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80207753)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 側頭葉てんかん / 睡眠構築 / 自律神経障害 / 心拍 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も昨年度に引き続き、ビデオ脳波モニタリングと終夜睡眠ポリグラフの同時記録を行ったてんかん患者における睡眠脳波、呼吸・心拍変化データを解析し、数々の新たな興味深い知見が得られた。 まず睡眠に関する研究として、以下の2つを報告した。1)側頭・頭頂・後頭葉てんかんの発作時脳波所見は睡眠により影響を受けており、覚醒時には明らかでない局在所見が、ノンレム睡眠時にのみ明らかであった。一方、前頭葉てんかんでは覚醒時とノンレム睡眠時に違いがなかった。発作起始の局在により睡眠の影響が異なることを示唆する興味深い結果である(WASM2015、日本睡眠学会第40回定期学術集会など)。2)特発性全般てんかん(IGE)と前頭葉てんかん(FLE)の強直間代発作を比較したところ、いずれも覚醒時に多いが、時間帯はIGEが早朝、FLEが午後に多い傾向が明らかとなった。両者の鑑別に際して、睡眠・覚醒リズムのみならず、概日リズムも考慮することが重要である(第49回日本てんかん学会学術集会)。 一方、自律神経に関する研究は、以下の2つである。1)右半球性部分てんかんでは、非てんかんおよび左半球性部分てんかんに比べ、ノンレム睡眠時のHFが有意に低値であった。昨年度に報告した睡眠構築に関する左右差と同様、興味深い結果である(IEC2015)。2)昨年度、我々は右内側側頭葉から発作が始まる場合には脳波変化よりも早く心拍が上昇し始めることを明らかにした(Neurology, 2014)。今年度は対象を側頭葉てんかん全体に広げた検討を行い、内側側頭葉以外、すなわち側頭葉新皮質から発作が始まる場合は、この左右差が明らかでないことを報告した(第56回日本神経学会学術集会)。従来, 発作起始側と心拍変化の関係には一致した結論が得られていなかったことが、対象患者の多様性を反映した結果であったことを示唆している。
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Research Products
(10 results)