2015 Fiscal Year Annual Research Report
カルレチニンと単球走化性蛋白質1を標的とした筋萎縮性側索硬化症の新規治療法の創出
Project/Area Number |
25461317
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林 信太郎 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (90312876)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 信利 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00432930) [Withdrawn]
大八木 保政 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30301336)
立石 貴久 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50423546)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / ミクログリア / マクロファージ / TDP-43 / 脊髄前側索 / 運動ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
1)最終年度(平成27年度)に実施した研究の成果:①ミクログリア (Mi)の活性過程における早期発現遺伝子osteopontin (Ost)と、後期発現遺伝子galectin-3 (Gal3)に着目しALS剖検7例 (計21切片)の脊髄を免疫組織化学的に観察した。この結果、Ost陽性Miは灰白質に、Gal3陽性Miは白質に明確に分かれて存在した。この結果は、ALS脊髄における活性化Miの浸潤が、変性が強調されている前角よりも先に白質から始まる可能性を示し、同疾患の変性起源に迫る重要な知見である。②培養Miにcalretinin(CR) peptide を添加した後に生じる変化を解析した。この結果、incubation後数日でapoptosisによる細胞死が著明となり、培地上清中のサイトカイン/ケモカイン濃度について評価不能であった。③CR peptide のラット脊髄内投与 (120~150日目まで観察)、遺伝子改変 (Tg)マウス (G93A)の髄腔内へ抗CRモノクローナル抗体の投与(20-24週まで観察)を行い、臨床表現系の変化を観察した (体重減少, rotarod、 foot slips)。この結果、無処置群と比較し共に有意な臨床的変化は生じずTgマウス脊髄におけるTDP-43病理にも有意差がなかった。 2)研究期間全体を通じて実施した研究の成果:①ALS の脊髄白質に出現するMiは末梢血単球由来が主であること、②脊髄錐体路ではT 細胞、脊髄前側索では樹状細胞の浸潤が主体であること、③脊髄前側索のアストロサイトでCCL2 の発現が亢進しており正常例におけるカルレチニン陽性軸索が存在する部位と一致すること、④前側索に存在する泡沫状のIba-1 陽性細胞がTDP-43 病理と有意に正相関すること、同領域に出現する非泡沫状Iba-1 陽性細胞とTDP-43 病理は逆相関する傾向を有すること、⑤活性化Miの中でGal3陽性細胞はALS脊髄の前側索に、Ost陽性細胞は前角に局在をもって浸潤することを明らかにした。いずれも新しい発見であり、今後新たな治療標的を考える上で重要な知見といえる。
|
Research Products
(5 results)