2013 Fiscal Year Research-status Report
グリコーゲン・センシングによる神経性代謝制御に関するメカニズムの解明とその応用
Project/Area Number |
25461332
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
泉田 欣彦 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80384410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢作 直也 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (60420246)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Metabolism / Neuronal informatics / Lipolysis / Obesity |
Research Abstract |
飢餓時において生体は炭水化物を初期に利用し、のちに脂質をエネルギーとして恒常性を維持する。 本研究にて、 ①〈肝内多糖貯蔵促進系〉Glycogen synthase2 (Gys2)・TFE3遺伝子過剰発現、そしてGlycogen phosphoralase (Pygl) RNAiにより脂肪分解が抑制され、②〈多糖貯蔵抑制系〉Gys2 RNAiにより脂肪分解がそれぞれHepato-vagus Nerve pathway にて促進されることが確認された。 これらデータから、肝内の貯蔵多糖系エネルギー合成/分解を感受した末梢神経が “神経性飢餓シグナル” を発信し、中枢神経にて情報統合し、代謝臓器である脂肪組織における脂肪分解を制御するメカニズムの存在が推測された. インスリン抵抗性を形成に重要なCarbohydrate-Lipid imbalance発現機構として“Liver-Brain-adipose axis“というべき神経性エネルギーネットワークが存在することが本研究から明らかにされた。特に糖・脂質エネルギー代謝を考察する上で、飢餓状態においてこの神経性ネットワークが鍵となっていることを見出した。 生体は飢餓時において貯蔵重合多糖を初期に利用し、のちに脂質をエネルギーとして恒常性を維持する。 その主要制御系として、肝臓内の糖代謝に応じた神経性代謝情報が中枢神経を経由し脂肪分解・脂肪酸遊離を誘導する一連の神経経路が存在することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Carbohydrate-lipid balance を形成する神経性エネルギー代謝制御の解明のため以下の解析が終了している。 1)肝臓のCarbohydrate-Lipid imbalance条件における神経性翻訳メカニズムの同定のためCMV promoter Glycogen synthase 2 adenovirus vectorによる肝糖代謝亢進状態での脂肪組織、筋組織の糖/脂質代謝関連遺伝子プロファイリングおよび迷走神経肝枝切断モデルでの評価、同様にsi Glycogen synthase 2 adenovirusモデルによる評価ならびに同様にsi Glycogen synthase 2 adenovirusモデルによる評価 2)CMVpromoter SREBP-1a adenovirus vectorにおける評価をほぼ終了しており、肥満モデル(ob/ob 、db/db)についてはDIOモデルに変更し更に解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
大きく2つ骨子があり、一つ目として肝細胞の代謝変化における電気信号パターン解析-細胞内代謝情報の神経情報への翻訳メカニズムの探求-を行う。そのため、In vivo にて、脂質代謝亢進状態あるいは、糖質代謝亢進状態における神経電位変化の評価として、肝臓のTFE3過剰発現, 高脂肪食負荷などのCarbohydrate-Lipid imbalance条件下における代謝臓器関連神経の電気信号パターンをワイヤレス・テレメトリーモニタリングシステムを用いて検討し、代謝情報に特異的な信号パターンを抽出する。 二つ目にIn vitro で肝細胞、脂肪細胞のprimary cultureにて脂質代謝亢進状態あるいは、糖質代謝亢進状態における膜電位変化の評価や代謝変化に伴うMembrane potential 変化 (Calcium membrane potential、ATP sensitive Potassium Channelの変化) を蛍光色素法にて観察、膜電位定量化を行う。 また、In vitroで糖/脂質代謝変化における肝細胞発現遺伝子パターンに対応する神経活動電位変化の解析を通して、そのコミュニケーションを明らかにする。 これら肝臓の各代謝条件における神経細胞のMembrane potential (KATP ,[Ca2+]i )と、神経活動電位変化との相関を明らかにするin vitro/in vivo/ex-vivoモデルを用いて解析を進め、神経終末における[Ca2+]i in vivo imaging システムにて代謝情報の電気信号化プロセスを同定する。 また、神経性代謝制御受容体の同定のため、細胞膜外ドメインをビオチン標識し濃縮した後、LC/MS解析を行う。 また、同時に膜蛋白受容体同定のため膜フラクション・2D-dige膜蛋白を用いたサブストラクションライブラリーを構築しPCRアレイ法にて解析を進める。さらに網羅的検索としてMALDI-TOFMASで「Hepato-neuronal transmitter」を同定し、翻訳メカニズムの解析に繋げる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定の遺伝子改変モデルがことなり、予想よりも安価で研究が出来たため。 今年度中に申告書の収支を合わせていく。
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[Journal Article] Glycogen shortage during fasting triggers liver-brain-adipose neurocircuitry to facilitate fat utilization.2013
Author(s)
Izumida Y, Yahagi N, Takeuchi Y, Nishi M, Shikama A, Takarada A, Masuda Y, Kubota M, Matsuzaka T, Nakagawa Y, Iizuka Y, Itaka K, Kataoka K, Shioda S, Niijima A, Yamada T, Katagiri H, Nagai R, Yamada N, Kadowaki T, Shimano H.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 4
Pages: 2316
DOI
Peer Reviewed
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