2013 Fiscal Year Research-status Report
肝臓の糖代謝・脂質代謝におけるEpacの役割の解明
Project/Area Number |
25461337
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
押田 芳治 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (10169295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 信暁 名古屋大学, 学内共同利用施設等, その他 (70378082)
豊田 行康 名城大学, 薬学部, 准教授 (60103264)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グルカゴン / Epac / グリコーゲン |
Research Abstract |
EpacにはEpac1とEpac2の2つのアイソフォームが存在するため、まず、肝臓におけるEpacの発現をPCR法を用いて検討した。肝臓には、Epac2のみが検出された。また、ウエスタンブロット法を行い、脳組織にはEpac2Aが、肝臓においてはEpac2Cに一致する発現を確認できた。これらの結果は、既報の結果と一致する。次に、グルカゴンがEpacを活性化するかを活性型Rap1に対するpull-down assayを行い検討した。その結果、グルカゴンは、Rap1を活性化することを示した。これらの結果は、グルカゴンは、細胞内cAMP濃度の上昇を介して、プロテインキナーゼA(以下PKA)のみならず、Epacを活性化することが示唆された。 グルカゴンは、肝臓に作用し、グリコーゲンの合成を抑制し、その分解を促進する。次に、これらの作用にEpacが寄与するかを明らかにするために、ラット初代培養肝細胞を用いて、Epacの特異的活性化剤である8-pCPT-2’-O-Me-cAMP(以下ESCA)の肝グリコーゲン蓄積に対する作用を検討した。ESCAは、0.2 M~10 Mにおいて濃度依存的に肝グリコーゲン含量を抑制した。次に、Epac阻害薬ESI-09存在下にグルカゴンを処置したところ、Rap1の活性化は抑制されたが、グルカゴンによるグリコーゲン抑制効果は全く影響を受けなかった。また、PKAの阻害薬であるKT-5720存在下でグルカゴンを処置しても、ESI-09同様に、グルカゴンによるグリコーゲン抑制効果は影響を受けなかった。これら結果から、Epacは、肝臓におけるグリコーゲン蓄積を調節することを明らかにした。しかしながら、グルカゴンによるグリコーゲン抑制作用には、PKAとEpacとの重複性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、Epac特異的活性化剤による検討及びEpac2Cに対するshRNAを発現するアデノウイルスベクターを作製し、実験を行う予定であった。現在、恒常活性型Epac2C及び優位阻害型Epac2Cを発現するアデノウイルスを設計及び作成に時間かかったため、研究計画が少し遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
恒常活性型Epac2C及び優位阻害型Epac2Cを発現するアデノウイルスを用いて、以下の実験を行う。 1. 初代培養肝細胞を用いた実験 恒常活性型Epac2Cアデノウイルスを初代培養肝細胞に感染させ、グリコーゲン含量や中性脂肪含量への影響について検討する。また、優位阻害型Epac2Cアデノウイルスを感染させ、グルカゴン作用について検討する。 2. In vivoによる検討 グルカゴン作用には、PKAとEpacとの重複性が示唆されたため、恒常活性型Epac2Cアデノウイルスをマウス尾静脈より投与し、糖代謝、脂質代謝について検討する。
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