2013 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞新生における遺伝子発現調節機 構の解析と再生医療 への応用
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25461348
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
宮塚 健 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60622363)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | β細胞 / β細胞新生 / インスリン / 糖尿病 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
胎生14日~18日のMIP(mouse insulin promoter)-Timerマウスより胎生期膵臓を摘出し、トリプシン処理後flow cytometryを行なったところ、胎生15日~18日の胎生膵より最も多くの新生β細胞=green-dominant fluorescent cellsを単離できることが明らかとなった。胎生16日のMIP-Timerマウスの膵臓を用いてFACSを行い(MoFlowを使用)、新生β細胞および成熟β細胞を単離し、RNAを抽出、マイクロアレイを行なった。Neurog3, Pax4, Arxといった内分泌前駆細胞特異的遺伝子が新生β細胞に強く発現しており、TaqMan arrayを用いた定量化においても同様の傾向が確認され、新生β細胞が内分泌前駆細胞の特性を有することが示唆された。一方、転写因子Mafaは成熟β細胞=red-dominant cellsに有意に強く発現しており、これはMafaがβ細胞の成熟化の過程で機能することを裏付ける知見である。マイクロアレイの結果、成熟β細胞にに5倍以上高発現する27個の遺伝子が同定され、G蛋白質共役受容体の1つがその中に含まれていた。この遺伝子は妊娠期の膵島でも有意に高発現していた。KOMP(Knockout Mouse Project)より同遺伝子の遺伝子改変マウスを入手できることがわかったので、当研究室への移送手続きを進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画通り、MIP-Timerマウスを用いたFACSおよびtranscriptome解析を行うことができた。引き続き計画書に基づいた実験を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
①新生β細胞特異的遺伝子に対する遺伝子改変マウスの表現型解析:上記実験で注目したG蛋白質共役受容体遺伝子に対するノックアウトマウスを用いて、当該遺伝子が膵β細胞発生、分化に果たす役割について検討する。 ②膵外分泌細胞からβ細胞への分化誘導系の確立および新生インスリン産生細胞の単離:我々は以前Cre依存性に膵臓特異的転写因子 Pdx1, Neurog3, Mafaを発現するトランスジェニックマウスを作製した(Miyatsuka T et al. Genes & Dev, 2006、および未発表データ)。本研究においては外分泌細胞特異的に、かつ誘導性に上記転写因子を発現するため、Elastase-CreERマウスを用いる。予備実験の結果、交配の結果得られるElastase-CreER; CAG-CAT-Pdx1; CAG-CAT-Neurog3; CAG-CAT-Mafaマウスではタモキシフェンを投与した場合にのみtransgene由来のPdx1, Neurog3, Mafaを発現し、タモキシフェン投与5日後には外分泌領域に多数のインスリン陽性細胞が認められるようになった。本研究ではこの分化転換モデルマウスをMIP-Timerマウスと交配し、分化転換直後の外分泌細胞由来インスリン産生細胞をFACSにより単離する。 ③膵臓外分泌細胞由来新生インスリン産生細胞の単離およびマイクロアレイ上記実験で単離した外分泌細胞由来新生インスリン産生細胞よりRNAを抽出、マイクロアレイを行い、遺伝子発現プロファイルを構築する。得られたデータを、胎児膵を用いて得られた(生理的条件下における)新生β細胞の遺伝子発現プロファイルと比較する。
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