2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25461352
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
木戸 良明 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10335440)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アミノ酸 / 膵β細胞 |
Research Abstract |
平成24年度までの代表者の検討において、高脂肪食負荷マウスの膵ラ氏島では2型糖尿病候補遺伝子GCN2が活性化することによってmTORC1活性を調節し、膵β細胞量が制御されていると考えられた。前糖尿病状態におけるインスリン過剰合成が、膵β細胞内のアミノ酸需要を増大させることによってfree tRNA量が増加し、それによってGCN2が活性化されているという仮説を代表者は構築した。さらに膵β細胞でインスリン過剰合成時にGCN2が活性化されないと、恒常的mTORC1活性化が起こり膵β細胞不全を呈する可能性が考えられた。以上の可能性を解析すべく実験を開始した。 まずインスリン過剰合成によって、膵β細胞内のアミノ酸濃度が減少しfree tRNA量が増加することによってGCN2が活性化されるかについて検討した。高脂肪食負荷マウスおよび通常食負荷マウスの膵ラ氏島を単離し、メタボローム解析によって膵β細胞内のアミノ酸濃度を測定した結果、高脂肪食負荷マウスの膵島では通常食負荷マウスの膵島と比して有意にアミノ酸濃度が低下していることが明らかとなった。ちなみに血清、肝臓、脳といった他臓器においてはそのような差は認められなかった。さらにそれぞれの膵島におけるtRNA定量およびfree tRNAの比率検討を行った。ノーザンブロット法によるtRNA定量では、高脂肪食負荷マウスの膵島でfree tRNAが増加していることが示された。また質量分析法による解析においても、高脂肪食負荷マウスの膵島ではfree tRNAの比率が増加していることが明らかとなった。 以上の結果から、高脂肪食負荷GCN2欠損マウスの膵β細胞ではインスリン過剰合成によるfree tRNA増加がGCN2を活性化できないため、mTORC1活性調節不全による膵β細胞量減少を呈するものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
一部、平成26年度に実施予定の計画も開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
膵β細胞における GCN2 と free tRNA の結合能に関する検討 GCN2 は free tRNA が結合することによって活性化されることが知られている。これまでの検討 から、高脂肪食負荷マウスの膵β細胞では増加した free tRNA が GCN2 に結合することによって 活性化させていると予想される。そこで GCN2 と tRNA の結合を RIP(RNA Immunoprecipitation)法にて検討を行う。具体的には高脂肪食負荷マウスと通常食負荷マウスそ れぞれから単離した膵ラ氏島をサンプルとし、免疫沈降により落とした GCN2 に結合している tRNA を real-time PCR 法にて定量を行う。以上より、高脂肪食負荷時の膵β細胞における tRNA の役割を明らかにできるものと考えられる。 膵β細胞特異的 GCN2 欠損マウスの解析 代表者は既に全身性 GCN2 欠損マウスの作製・解析を行い、インスリン抵抗性は変化せず、膵β細胞量が減尐することを明らかにしている。しかしながら膵β細胞量の減尐が他臓器の GCN2 欠 損による「臓器連関」である可能性は否定できず、代表者が考える free tRNA 量の変化によるも のであることを実証するには、膵β細胞特異的 GCN2 欠損マウスの解析が必要と考えられる。代 表者は既に同マウスの作製に完了しており、今後は戻し交配を終了して解析を開始する予定である。膵β細胞特異的 GCN2 欠損マウスに高脂肪食を負荷することによって、代謝デー タ、膵β細胞量、インスリン抵抗性などが全身性 GCN2 欠損マウスと比較してどのようになるかを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入予定の物品の発注が予定より遅れ、次年度の発注となり、次年度使用額が発生しました。 次年度に既に購入予定の物品を発注しました。
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