2015 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪組織と骨格筋を制御する膜蛋白同定とメタボリック症候群における病態生理学的意義
Project/Area Number |
25461354
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
江口 潤 岡山大学, 大学病院, 助教 (60616366)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メタボリックシンドローム / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
メタボリックシンドロームでは内臓脂肪組織の過剰な蓄積, 相対的かつ絶対的な骨格筋量の減少により脂肪組織量と骨格筋量の不均衡(肥満サルコペニア)が生じている。肥満サルコペニアでは脂肪組織の線維化に伴う機能異常, 骨格筋の機能低下が起こっており, 全身のインスリン抵抗性やさまざまな代謝異常を引き起こす。肥満サルコペニアを改善することはメタボリックシンドロームを基盤とした糖尿病治療や糖尿病発症抑制に効果があり, 国民の健康維持, 増進に有用であると考えられる。そのためには, 肥満サルコペニアの発症に関わる遺伝子群や代謝経路を解明する必要があるが, その大部分は明らかになっていない。本研究はメタボリックシンドロームの新たな側面から新規治療薬開発のための創薬ターゲットを探索することを目的とする。脂肪細胞の分化を抑制し筋細胞分化を促進する因子としてTmem97 (Transmembrane protein 97)を同定した。Tmem97は, 全身の臓器に発現し, 細胞内では小胞体膜に存在する。機能的には肝臓でのコレステロール輸送に関わると報告されている。しかしながら, 現在まで糖尿病, メタボリック症候群に関連するとの報告は皆無である。我々が行った上記の結果より, Tmem97は生体内で脂肪組織と骨格筋でインスリン抵抗性を誘導する。Tmem97は, メタボリック症候群において脂肪組織と骨格筋で全身のインスリン抵抗性発症に関与している可能性がある。
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