2014 Fiscal Year Research-status Report
プロリン異性化酵素Pin1と肥満発症との関係解明及び創薬への展開
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25461355
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中津 祐介 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (20452584)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Pin1 / AMPK / 肥満 / 膵β細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロリン異性化酵素Pin1と肥満との関係を明らかにするために、結合蛋白の同定及びその機能解析、並行して臓器特異的Pin1 KOマウスを作成し、糖・脂質・エネルギー代謝における各臓器のPin1の役割を検討した。具体的には、本年度は以下のことを明らかにした。 まずPin1結合蛋白としてAMPKを同定し、Pin1がAMPKのリン酸化を抑制することを前年度報告したが、その作用機序としてPin1がAMPKの脱リン酸化に関与していることを明らかにした。また、Pin1とAMPK subunitの結合部位の同定を行った。次に、膵β細胞特異的Pin1 KOマウスを作成し、解析を行った。このマウスではβ細胞においてのみPin1の発現が消失していることを、ウエスタンブロットと免疫染色により明らかにした。β細胞特異的Pin1 KOマウスは糖負荷試験による耐糖能悪化を示したが、インスリン負荷試験では差は認められなかった。以上のことより、β細胞特異的Pin1 KOマウスはインスリン感受性に差は認められないものの、インスリン分泌能に異常があると考えられた。高脂肪食負荷マウスやob/obマウスといった糖尿病モデルマウスの膵島ではPin1の発現量が顕著に増大していることと考え合わせると、糖尿病時における代償的な膵島の肥大化にはPin1が重要であると考えられた。さらには、脂肪細胞特異的Pin1 KOマウスを作成し、このKOマウスが高脂肪食負荷による肥満に対して抵抗性を示すことも明らかにした。 以上のことより、Pin1は各臓器でのエネルギー代謝に重要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Pin1によるAMPK機能制御機構について明らかにし、さらにβ細胞特異的・脂肪細胞特異的Pin1 KOマウスの解析まで着手できたので。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は臓器特異的Pin1 KOマウスの解析を進めるとともに、膵島や脂肪組織でのPin1結合蛋白の同定を試みる。また、Pin1阻害剤をマウスに投与することで肥満が抑制されるか否かについても検討する。
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Research Products
(3 results)