2013 Fiscal Year Research-status Report
脂肪組織におけるTNF受容体切断酵素の同定とインスリン抵抗性改善への応用
Project/Area Number |
25461360
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
本島 寛之 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40398201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 剛 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (20398192)
西川 武志 熊本大学, 生命科学研究部, 准教授 (70336212)
近藤 龍也 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (70398204)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メタボリックシンドローム / インスリン抵抗性 / 2型糖尿病発症 |
Research Abstract |
①C57BL6 マウスへ肥満を誘導するため高脂肪/高スクロース食を投与、肥満食誘導性肥満を発症させた。内臓脂肪組織のADAM-8 mRNA発現が30週で約15倍増加、54週においても約25倍増加していた。さらに、ゴールドチオグルコース(GTG)誘導性過食マウスを作成、通常食の過食モデルでは30週で約60倍、54週で約50倍に増加していた。GTGモデルに肥満食を負荷すると、さらなる肥満の増強を誘導したが、ADAM-8発現には有意な影響を認めなかった。また、本モデルでは食餌制限による肥満改善はADAM-8 mRNA発現の上昇に有意な影響を認めなかった。 ② 野生型ADAM-8 cDNAを哺乳類細胞用発現プラスミド(pcDNA3.1 myc-his vector)へサブクローニングした。HepG2肝細胞に導入、過剰発現することも確認した。変異型ADAM-8 cDNA (E330→Q 変異;プロテアーゼ活性欠損)は作製途中である。野生型および変異型ADAM-8発現ウイルスベクターおよびトランスジェニックマウス用コンストラクトの構築は、変異型cDNAのサブクローニング後に開始する。 ③ 野生型ADAM-8 cDNAを大腸菌用発現プラスミドにサブクローニング後、大腸菌BL21 (Rosetta-gami B株)に導入、過剰発現をウエスタンブロットで確認した。HepG2細胞に過剰発現させたADAM-8蛋白と併せて、6xHis タグを用いて精製した。精製ADAM-8を3T3-L1脂肪細胞や肝細胞HepG2に添加、細胞膜上のTNF-R1切断が促進されるか、培養細胞レベルでの検討を開始した。TNFα添加によるTNF-R1切断については、ウエスタンブロット解析にて切断フラグメント(分子量27kDa)が出現することを確認済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、未同定のTNFα1型受容体(TNF-R1)切断酵素を同定することを目標としており、その候補としてTACE (TNFα converting enzyme)およびADAM-8を想定している。TNF-R1切断実験については、HepG2細胞や3T3-L1脂肪細胞にTNFαを添加することで効率よくTNF-R1切断を惹起できることを見いだしている。野生型ADAM-8の蛋白精製は完了し、切断実験を開始している。野生型ADAM-8ではTNF-R1切断が起こり、変異型ADAM-8では起こらないことを証明する必要がある。変異型ADAM-8 (E330→Q 変異;プロテアーゼ活性欠損)をコードする変異ADAM-8の発現実験や精製したADAM-8タンパクを得るために、変異型ADAM-8 cDNA作製は不可欠である。変異型cDNAの作製に難航している点が、実験計画の遅れの主因である。
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Strategy for Future Research Activity |
①ADAM-8が3T3-L1脂肪細胞、HepG2肝細胞、L6骨格筋細胞において発現しているのか解析する。脂肪組織のADAM-8、TNF-R1、TNF-R2の発現調節機構解析およびTNF-R1切断酵素同定のため、肥満糖尿病モデルマウスに各種分子阻害剤やTNF-R1切断阻害剤を投与、あるいは糖尿病治療を施しADAM-8への影響を解析する。GTGによる過食モデルに肥満食負荷すると30週を超える時点で脂肪組織の減少が起こることを見いだしており、脂肪細胞アポトーシスのin vivoモデルと考えている。本モデルに精製ADAM-8を投与することで、ADAM-8のin vivo効果を明らかとする。 ② 変異型ADAM-8 cDNAの獲得に時間を充分にあて、速やかに野生型および変異型ADAM-8を発現するウイルスベクターやトランスジェニックマウス用コンストラクトを構築する。 ③ 精製ADAM-8(野生型および変異型)添加により、細胞膜上TNF-R1切断が影響され、TNFα刺激による細胞障害やアポトーシスが減少もしくは増加するか、培養細胞およびin vivoで検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
DNA組換え実験および定量的RT-PCR解析に必要な備品(100bp DNA LadderおよびGotaqq PCR Master Mix)の在庫がなくなり、当該実験を遅滞なく進行させるため緊急回避的に購入した。 次年度については、計画書に基づき適正に補助金を使用する。今回のような問題が生じないように、実験室で共用で使用する物品については、あらかじめ過不足を調査して、緊急回避的な購入が生じないよう務める。
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