2013 Fiscal Year Research-status Report
新規中性脂肪吸収抑制薬であるSAR1B抑制PIポリアミドの開発
Project/Area Number |
25461378
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
上野 高浩 日本大学, 医学部, 准教授 (40386008)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Sar1b / PIポリアミド |
Research Abstract |
Sar1b発現抑制するPIポリアミドをデザインするためにensemble databaseを用いてヒトSar1bプロモーター遺伝子配列を抽出した。このプロモーター領域における転写因子結合部位を解析するために、抽出したプロモーター配列を転写因子結合配列データベースであるTransFacにより解析、ヒトSar1bプロモーターにおける転写因子結合予想部位のマップを作成した。この中で、最初のPIポリアミド結合ターゲット配列として脂質代謝調節において非常に重要と考えられているSREBPが結合するSREとし、その部位に結合するPIポリアミドを2種類デザインした。 デザインしたPIポリアミドをペプチド合成機PSSM-8を用いて固相法で合成し、HPLCで精製した。乾燥後に蒸留水で溶解し、HPLCにて確認した。合成した2種類のPIポリアミドのターゲット部位を含むヒトSar1bプロモーター20bp分の配列でセンス、アンチセンスのオリゴヌクレオタイドを作成し、2本鎖DNAとした後にPIポリアミドとともに電気泳動するゲルシフトアッセイにてPIポリアミドのターゲット配列への結合を確認した。 次に、Sar1bPIポリアミドの評価系を確立するために、小腸培養細胞であるCaco2細胞を用いて、Sar1b発現を増加させる刺激の探索を行った。Caco2細胞はTranswell上で培養することで、小腸細胞類似の形態を示した。この細胞に100nMインスリン、50mM、100mMグルコース、LPDSを添加したが、SRBP1、Sar1b mRNAの発現量の有意な変動は認めなかった。LXRアゴニストであるTO901317を10μMで添加するとCaco2細胞のSREBPは増加したが、Sar1bは明らかな発現変動は見られなかった。さらに25μMシンバスタチンも加えたが、明らかな変化は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
経口投与して小腸細胞においてSar1b発現を抑制し、中性脂肪の吸収を抑制する新たな遺伝子発現調節薬PIポリアミドの開発を目指している。ヒトSar1bポロモーターを解析し、PIポリアミドの最初のターゲットとしてSREを選択し、この部位に対するPIポリアミドを2種類デザインし、固相法で合成、HPLC精製した。PIポリアミドは成功裏に合成され、その分子量はHPLCにて確認し、予想されたものと同じ大きさであった、さらにゲルシフトアッセイでも2つのPIポリアミドともにターゲット配列への結合が確認され、ヒトSar1bプロモーター配列に結合するPIポリアミドの作成に成功した。 その後にのPIポリアミドのmRNA抑制、蛋白抑制効果、およびカイロミクロン合成に対する作用を検討する評価系の確立に入ったが、使用しているCaco2細胞で、インスリン刺激、低脂質刺激であるLPDS刺激、さらに低コレステロール刺激であるシンバスタチンなどを用いたが、Sar1bの有意な上昇は認められなかった。これら、様々な刺激の組み合わせによる評価系の確立への試みを繰り返していたが、奏効せず、研究の遅れにつながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、Sar1bPIポリアミドの評価系を確立する。Caco2細胞に対するリノール酸添加による評価が有望と考えられる。または、細胞を正常ヒト小腸上位細胞や小腸細胞ではないがSar1b発現が確認されているHeLa細胞に変更するなどして評価系の確立を目指す。 評価系が確立した後に、作成した2種類のPIポリアミドを加えてSar1bmRNA抑制効果を検討する。添加濃度、時間など最適の抑制条件の検討も行う。抑制が得られた場合には、ウエスタンブロットによりSar1b蛋白抑制効果を検討する。さらに培養液中へのカイロミクロン放出に対する効果の検討も行う。 効果が得られなかった場合には、他の部位をターゲットとしたPIポリアミドをデザインし、合成し、大きさ、結合を確認後、小腸上皮細胞評価系により効果を評価する。これを繰り返し、有効なPIポリアミドを得る。 有効なPIポリアミドが確立されたら、そのPIポリアミドにFITCを結合したものを作成し、WKYラットに経口投与してその小腸細胞への取り込みを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額が次の購買希望物品の価格に満たなかった。 次年度の消耗品費に合わせて使用する。
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